先日、冬休みを利用してチェジュ(済州)島に向かう途中、あちこちから高齢者の愚痴が聞こえてきた。空港のセルフチェックイン機のせいだ。いつから空港のチェックインカウンターが全てセルフチェックイン機で占められるようになったのだろうか。
記者は連れの一行と一緒の席に座るために、モバイルチェックインを終えてから空港に到着した。特に預ける荷物もなかったので、余裕を持って空港内を見て回っていると、最初の関門に慌てている老夫婦の姿に目が止まった。空港に到着してから、キャリーケースを引いて航空券の発券をしに行った彼らは、案内文を見て立ち止まった。セルフチェックイン機で発券を受け、その後荷物を別に預けるシステムについての説明が書いてあった。この老夫婦は前に並んでいた人々が発券を受けているのを静かに見守ってから、勇気を出してセルフチェックイン機に近づいた。多少おぼつかなさそうではあったが、それでも発券を受けることに成功した。
空港での手続きはいつも慌ただしい。チェックインを終えて手荷物検査場を通過すると、冷たいアイスコーヒーが飲みたくなる。ここで2番目の関門が待っている。空港内のコーヒー店の大半ではセルフカウンターで注文を受け付けている。機械に行列ができていると思って見てみると、あるお年寄りが注文するのに困っていた。このお年寄りは恥ずかしそうに後ろの人に順番を譲ってその場を離れようとしたが、幸いある若者の助けによって注文に成功した。ところがよく見ると、ここは無人の売場ではなかった。飲み物を作るスタッフとカウンターでこの様子を眺めていた従業員もいたのだ。記者はもどかしい気持ちになって、注文をここで受け付けてはいないのかと聞くと、受け付けているという。「あそこでも注文できるようですよ」とセルフカウンターの順番を待っていたお年寄り2人に話しかけると、2人はおどおどとカウンターに向かった。
済州島に到着すると、最後の関門が残っていた。レンタカーだ。記者も無人で配車を受けるのは初めてだ。事前予約の時にも、無人配車についての案内は特になかった。予約番号を入力して運転免許証をスキャンし、免許の番号をもう一度押し、レンタカー契約による補償内容の確認まで全てセルフカウンターで行われる。慣れない機械操作にあちこちから不満が続出した。これまで我慢してきた不便さに憤(いきどお)りを覚えた高齢者たちだった。航空チケットの発券からコーヒーの販売までは我慢してきたが、済州島に到着して初めて触れるのがまた機械。しかも今回は難易度が高かった。不親切な機械を責めるというよりも、それを扱うことができない自分と、その年齢を責める姿が気の毒だった。
自動システム設置の拡大は、人件費の負担を軽減するためのやむを得ない選択だろうが、しかし旅行客が集まり、観光商品を売る済州島でここまで徹底して無人システムを導入する必要があるだろうか。若者はセルフカウンターに慣れているというが、まだ多くの高齢者が機械の操作に戸惑っている。5月にソウルデジタル財団が満19歳以上のソウル市民5000人を対象に調査した結果、55歳以上でセルフチェックイン機を利用したことがあると答えた人の割合は45.8%だった。彼らがセルフチェックイン機を利用しない理由は「操作方法を知らない・操作が難しい」(33.8%)が最も多かった。こんな気難しい機械が出迎える観光地の印象がいいはずはない。
旅行は特に国内旅行の場合、日常よりもゆっくりと休日を楽しみに行く人も多い。このような旅行客には冷たい機械でなく、温かい歓迎のあいさつをしながら何が必要かを尋ねる人が必要だ。
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