税制支援強化策を発表する秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副首相兼企画財政部長官(右端)=3日、ソウル(聯合ニュース)
税制支援強化策を発表する秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副首相兼企画財政部長官(右端)=3日、ソウル(聯合ニュース)
【世宗聯合ニュース】韓国政府は3日、半導体の設備投資などを行った大企業に対して投資額の15%の税額控除を行い、追加投資も加えると税額控除率を最大25%まで引き上げる内容を盛り込んだ半導体投資税制支援強化策を発表した。政府は支援強化に消極的な立場だったが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の鶴の一声で方針転換した。◇大企業の控除率約2倍に引き上げ 臨時投資税額控除も復活 政府案によると、半導体・バッテリー・ワクチン・ディスプレーなど国家戦略技術の設備投資を行った大企業に対する税額控除率が現行の8%から15%に引き上げられる。 仮にサムスン電子が今年半導体の生産設備に1兆ウォン(1020億円)を投資すれば、1500億ウォン分に対する税金が減免されることになる。 これとは別に、今年の投資増加分(直前3年間の平均値比)に対しては10%の追加控除の恩恵が与えられる。 これにより、半導体など戦略分野で新規事業に参入する大企業は、増加分も合わせて最高25%の税額控除を受けることができる。  中小企業では控除率が現行の16%から25%に引き上げられ、投資増加分を含めた税率控除率は最高35%に上る。 国家戦略技術の研究開発(R&D)への投資では、これまで通り世界でも最高水準となる30~50%の税額控除が適用される。 また、政府は2011年に廃止された臨時投資税額控除を今年12年ぶりに再導入することを決めた。 臨時投資税額控除は業種や目的を問わず投資した企業に一定水準の追加税制優遇を与える制度で、過去の景気低迷期に導入された。 一般投資に対する税額控除率は現行の1~10%から3~12%へと2ポイントずつ引き上げられる。 新成長・基幹技術では控除率が3~12%から6~18%へと企業規模に応じて3ポイントずつ引き上げられる。 これにより、今年新成長・基幹技術に投資する大企業は6%、中堅企業は10%、中小企業は18%ずつ税額控除を受けられることになる。       今回の支援策は、今年1月1日からの投資分にさかのぼって適用できるよう立法を推進する。 政府は関連法改正案を今月中にとりまとめ、最大限速やかに可決することを目標とする。◇尹大統領の鶴の一声で方針転換 来年の税収減も甘受 政府は、半導体税制支援について「十分な水準」としていたこれまでの立場を覆し、昨年末に国会本会議で関連法が可決されてからわずか11日で今回の追加税制の方針を発表した。 これに先立ち、国会は先月23日、今年から半導体の設備投資を行った大企業に対する税額控除を現行の6%から8%に引き上げる内容を盛り込んだ改正租税特例制限法を可決した。 与党「国民の力」の半導体特別委員会が提示した20%(大企業の場合)だけでなく、最大野党「共に民主党」が主張した10%にも及ばない水準で与党や財界の反発が続いたが、政府は韓国の半導体税制支援は主要国と比べても高水準だとの立場を崩さなかった。 だが、先月30日に尹錫悦大統領が半導体など国家戦略産業に対する税制支援拡大を検討するよう指示すると、政府の立場は180度変わった。 秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副首相兼企画財政部長官は「半導体は韓国経済の中核産業であり、韓国の未来競争力や国家安保、生存と直結する戦略資産だ」として「国家戦略産業のグローバル競争力確保とともに、企業の全般的な投資心理を回復させるための画期的な税制支援策を用意した」と説明した。 野党との合意を破って法改正を再推進するのではないかとの質問には、法人税の最高税率を22%へと3ポイント引き下げる案を国会に提出したが、結果的に1ポイントの引き下げにとどまったとして、法人税では政府の意図通りにならなかったため、投資の税額控除率を大幅に引き上げることになったと説明した。 ただ、税額控除が急激に拡大し、来年の税収に影響が及べば政府の負担が増すことになる。 政府は今回の改正案によって来年の税収が3兆6500億ウォン減少し、25~26年には年間税収が1兆3700億ウォンずつ減ると見込んでいる。 これに加え、政府が提示した税額控除率の引き上げ案が野党の案を大幅に上回っていることから、今後野党からの反対も予想される。
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