カレーは2015年に当時の島根県隠岐の島町の町長が考案した。「竹島海鮮カレー」と銘打ち、同町の飲食店で年間500食以上提供される人気商品となっている。これまで、観光客が食べる機会は多かったが、県民に竹島について関心を持ってもらおうと、一般の人も利用できる県庁の食堂で今回、初めて提供された。男島と女島からなる竹島の形を精密に再現するために、3Dプリンターで作った型を使った竹島の形そっくりのご飯に、ルーがかけられているのが特徴だ。男島には日本国旗も立っている。具材には地元で獲れたイカやサザエ、ルウにはサザエの煮汁が使われている。
隠岐の島町の危機管理室竹島対策係の八幡貴之氏は、地元テレビ局の日本海テレビの取材に「まず島の形を目で楽しんでもらい、ぜひこれを食べてもらいながら竹島問題について今一度考えてほしい」と話した。
島根県などは、竹島の領有権確立を目指して条例で定めた「竹島の日」の22日、松江市内で記念式典を開いた。竹島が日本固有の領土だと改めて訴えた。
「竹島の日」は竹島を県の所管としてから100年を迎えたことを受け、島根県が2005年に条例で定めた記念日。「竹島の日を定める条例」第1条は「県民、市町村及び県が一体となって、竹島の領土権の早期確立を目指した運動を推進し、竹島問題についての国民世論の啓発を図るため、竹島の日を定める」としている。2月22日に決めたのは、1905年のこの日に県が竹島を編入したことにちなんでいる。
式典の開催は今回で18回目。新型コロナウイルスの流行を受けて、昨年は一般の参加者を入れない形で開催したが、今年は参加者を募って行われ、約200人が出席した。丸山達也知事は「竹島は日本固有の領土だ」と強調した上で「最近の韓国を見ると政府・国会関係者の竹島上陸、周辺海域での海洋調査や防衛訓練など、竹島の不法占拠を既成事実化しようとする動きを強めていて、極めて遺憾だ」と述べた。政府に向けては、毅然とした姿勢で韓国との外交交渉に臨み、竹島問題の解決を図るよう求めた。
また、政府から派遣された内閣府の中野英幸政務官は「政府は総力をあげて外交、教育、啓発などを展開し、一歩も引くことなく、毅然とした態度でわが国の立場を韓国に伝えていく」と述べた。
一方、竹島を「独島」と呼び、領有権を主張する韓国政府は、式典開催を受けて外交部の報道官声明を発表。「日本が独島に対する不当な領有権の主張を繰り返している」と批判した上で、式典への政務官派遣に「強力に抗議し、同行事の廃止を厳重に求める」とした。外交部アジア太平洋局のソ・ミンジョン局長は、在韓日本大使館の熊谷直樹総括公使を外交部庁舎に呼び、抗議した。
「竹島の日」を前に県庁食堂で提供されたカレーについても、韓国の各メディアが取り上げた。ファイナンシャルニュースは「止まらない『独島妄動』」との見出しで伝えた。
韓国では「独島」を商品名にした「独島グッズ」で溢れている。「1025独島化粧品」は韓国女子の間では有名な化粧品だ。収益の一部が島の領有権を主張するための運動の資金に充てられているという。1025は「独島の日」の10月25日を意味する。「独島消しゴム」や「独島えんぴつ」など、文房具もある。2021年には韓国の20~30代の若者4人が島関連の古地図でエゴバッグやスカーフ、Tシャツなどを作ったとして、韓国の有力紙・中央日報が比較的大きく取り上げていた。
韓国では日本以上にこの問題に関心が高く、過去の意識調査では島を「自国固有の領土」と認識する韓国国民は90%台後半に上った。昨年10月には政府系シンクタンクが運営する「独島体験館」がソウル市内の大型商業施設内に移転してきた。島の模型などの展示のほか、記念写真入りの「独島新聞」が製作できるコーナーも設けられ、人気スポットになっている。
一方、この調査で、自国の領土と認識していると答えた日本国民は6~7割程度にとどまった。カレーを味わった客の一人は、日本海テレビの取材に「もっと政府がしっかりしてほしい。竹島はやはり日本の竹島だから」と話した。
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