会談のために尹大統領が甘受した政治的損失は一つや二つではない。国内企業の金で徴用工の賠償をするように定めた第3者返済解法は「屈辱外交」という批判まで受け、上昇傾向を示していた支持率も下落傾向に転じた。野党と市民団体による感情的な反日扇動も再び起こっている。やっとの思いで切り開いた日韓関係正常化の糸口が、激しい政治的逆風になって返ってきていることになる。今回の訪日日程は岸田首相との2度の晩餐会と日韓の経済交渉など、多忙に構成されているというが、外交の成果が韓国国民の心をどれほど掴めるかは未知数だ。
こじれた日韓関係の責任の相当部分は、両国とも過去の指導者にある。慰安婦合意の破棄に続き、司法自治の原則の一線を越えた徴用工賠償判決の後、巻き起こる論争を見ぬふりをして放置したムン・ジェイン(文在寅)前大統領は反日集中攻撃をあおったと言っても過言ではない。故安倍晋三元首相も嫌韓感情と辛辣(しんらつ)な言葉で両国関係に釘を刺すのが常だった。米中による覇権戦争と北東アジアの緊張関係がもたらした待ったなしの経済・安保環境の中で、新しいパートナーシップ構築に乗り出したものの、両首脳が負っている負の遺産は計り知れない。
輸出規制の解除やGSOMIA(軍事情報保護協定)の正常化、また日本戦犯企業の未来青年基金への参加など、会談で解決すべき問題は少なくない。しかし重要なのは、心から湧き出る日本の誠意ある姿勢だ。カギは日本政府と政界の開かれた心と未来に向けた大局的な決断にかかっている。正常化の第一歩を力強く歩む日本の対応に期待している。
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