韓国政府、電気・ガス料金の値上げ見送り…与党との会議で決定も懸念する声(画像提供:wowkorea)
韓国政府、電気・ガス料金の値上げ見送り…与党との会議で決定も懸念する声(画像提供:wowkorea)
韓国政府と与党は、3月31日に党政協議会を開催し、電気・ガス料金の値上げを保留することにした。世論の動向を把握した後で決めるという理由だが、「それで問題が解決されるのか」と懸念する声も出ている。

 韓国メディア「ヘラルド経済新聞」によると、与党「国民の力」と企画財政省、産業通商資源省は31日午前、国会で党政協議会を開き、第2四半期電気・ガス料金の値上げ問題を議論した。当初、電気・ガス料金の値上げについては、この日の会議で結論を出す予定だった。しかし、与党側の要求に政府が一歩退いて、一旦保留することにした。党の指導部は前日の最高委員会で、「料金凍結」で意見をまとめたという。公社の赤字問題には、その深刻さに共感しながらも、政府の努力なしに料金を値上げすることはできないという理由からだ。前政権の任期中に続いた公共料金の凍結により、値上げの圧力がいつにも増して大きくなったため、国民を説得する時間も必要だと判断した。

 一方的な値上げに先立ち、党としては最近の勤労制改編議論を巡って混乱したように、事態を悪化させないようにするための姿勢と解釈される。以前、政府は労働制改革の議論が本質とは無関係な「週69時間労働制」として伝わったことを憂慮し、国民全体への十分な広報や説得が必要だと考えている。料金の値上げに際しては、最近の日韓首脳会談の影響や、労働制改革の論争などによって、大統領と与党支持率の同時下落を招く可能性もあるとみている。

 また、鍵となるのは今年の下半期に本格化する総選挙の政局だ。国政課題の立法などにおいて、21代国会中に巨大野党の壁を乗り越えられなかった与党にとって、来年の総選挙勝利が最優先の課題となっている。現政権が選挙を約1年後に控え、民意に影響を及ぼす料金値上げを決定することが難しいとされている。そのため、今回の保留決定は実際的に凍結に近い決定という解釈が出ている。

 一方、昨年末時点で韓国電力公社(韓電)の営業損失は約32兆6000億ウォン(約3兆3100億円)、ガス公社の未収金は8兆6000億ウォン(約8700億円)だった。当時、産業省は2026年までに韓電の累積赤字解消のため、今年の電気料金をキロワット当たり51.6ウォン(約5.3円)値上げする必要があると国会に報告した。昨年1四半期に比べて、キロワット当たり13.1ウォン(約1.3円)の約4倍の水準となる。ガス料金も1四半期に続いて凍結が決定されると、値上げの圧力がより強まった。昨年は、メガジュール当たり合計5.47ウォン(約0.5円)値上げされたガス料金だったが、産業省が国会に報告した値上げ案は、1.9倍の水準である10.4ウォン(約1円)だった。

 電気・ガス料金の値上げについて、韓国日報は1日の社説で「値上げを避けられない状況で時期だけを延ばせば、最終的には料金爆弾がますます大きくならざるを得ない。政権は、国民に値上げの必要性を説得し、経済のすべての分野がエネルギー節約の体質を持つように関連制度を整備しなければならない」と求めた。

 韓国経済新聞も同日の社説で、「前任の文政権の脱原発政策による請求書を受け取った現政権の悩みが分からないわけではない。しかし、料金を適時に現実化しなければ、エネルギー市場の構造を歪曲し、損失を増大させるだけだ」と忠告した。
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