【カイロ15日聯合ニュース】イエメンで行方不明になった韓国人1人を含む国際医療ボランティアスタッフが、武装勢力により殺害されたと伝えられた。イエメンではこれまで、武装勢力が収監された仲間の釈放や救援品支援など特定の目的を貫徹する手段として外国人を拉致しても、短くて1日、長くて数週間後には人質をほぼ無傷で解放していた。今回の事件は、大きな衝撃を与えている。
 貧困国のイエメンでは、ことしだけで5件の外国人拉致事件が発生したが、人質が殺害されたのは今回が初めてだ。このため、当初イエメン政府は北部サーダ州のイスラム教シーア派の民兵組織の犯行との見方を示したが、国際テロ組織アルカイダによる犯行の可能性も提起されている。犯行組織と目された民兵組織側は、事件への関与を否定し、政府が自身らのイメージを歪曲(わいきょく)しようとしていると主張している。外国人医療ボランティア9人が拉致されたのは、この民兵組織が本拠地とする地域だが、アルカイダ組織員らの潜伏先でもある。あるイエメン当局者はAP通信の報道を引用し、サーダ州は険しい山岳地形でアルカイダ組織員らも潜伏していると話すなど、今回の事件へのアルカイダ介入の可能性を示唆した。
 アルカイダは、1月にサウジアラビア支部とイエメン支部を1つに統合する組織再整備を終え、「聖戦」を強化すると公言した。その後、3月にはイエメン東部シバームで韓国人観光客4人が自爆テロに巻き込まれ死亡する事件が発生。さらに、この事件の収拾のためイエメンを訪問した韓国政府対応チームと遺族も自爆テロのターゲットとなった。この連続自爆テロは、アルカイダが国際社会に衝撃を与えるため10代の若者に実行させたものと、イエメン政府は把握している。
 今回の拉致事件も、犯人はイエメンや関連国政府に具体的な解放条件を示さないまま人質を殺害しており、自爆テロと同様の性質のものとみられる。事件が発生した12日には、アルカイダのイエメン・サウジアラビア統合支部の資金担当責任者がイエメン保安当局に逮捕された。これに対する報復として、アルカイダが人質を殺害した可能性も排除できないだろう。
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