正規の音楽教育を受けたKAIは、2002年「シューベルト・コンペティション」(コンクール)優勝、2007年Dong-Aコンペティション3位受賞。ソウル芸術高校を首席で卒業後、ソウル大学声楽科で大学院まで研鑽し歌に磨きをかけた。その後、国際的歌手のスミ・ジョーに実力を認められ、彼女の全韓ツアーに同行し観客から大喝采を浴びた。2009年シングル「パニッシュメント」でデビューし、ドラマティックな歌声で人々を魅了し続けている。
また、昨年は韓国でロングラン・ヒットとなったミュージカル「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」に出演し、俳優としての才能も開花。さらに、KBSラジオ「Vivid Classic」のパーソナリティーも務めるなど、活躍の場を広げている。
そんなイケメン&エリート・シンガー、KAIが8月22日、アルバム「愛という名前」を日本でリリースする。同作では、“美メロ”、“泣きの名曲”、“古き良き時代の日本歌謡曲”を彷彿とさせるロマンティックで情感たっぷりの名曲を、日本語、韓国語、イタリア語、英語の4ヶ国語を駆使した圧倒的な歌唱力で披露している。
<b>-KAIという名前の由来について。</b>
わたしの本名(チョン・ギヨル)には子音(韓国語でいうパッチム)があるので、なかなか発音するのが難しいんです。そこで、何か名前を付けようと思っていたときに、「ピアノの森」という日本のアニメを見たのですが、その主人公の名前が「カイ」でした。また時期を同じくして、歌手スミ・ジョーさんのコンサートに同行した際、彼女も「“カイ”は覚えやすく、記憶に残りやすい」と言ってくださり、最終的に決定しました。日本など外国の方にも簡単に発音してもらいたいという思いが、当時すでにありました。
<b>-日本語でのレコーディングで難しかった点は。</b>
オペラを専攻しているので、イタリア語やフランス語、ドイツ語、ロシア語などでは歌ったことがあったのですが、日本語で歌うのは初めてでした。なかなか慣れませんでしたし、特に発音が難しかったです。しかし、普段から日本の音楽や映画が好きで触れていましたので、そういう意味では言葉に対してまったく見慣れないという感覚はなく、遠い存在でもありませんでした。ですので、難しくはあったのですが、とても親しみやすく楽しく歌うことができました。
<b>-日本語の歌詞を理解する上で気を付けた点は。</b>
まずは、一つひとつ単語を調べながら歌詞を見ていきました。そこで感じたのは、もとになっていた韓国語の歌詞と歌の世界が似ているということでした。また、日本語が持っている非常に詩的な部分、ポエトリーのような表現にもなっていましたので、とても気に入りました。ただ、わたし自身、日本語は母語ではないので、自分の中で噛み砕いて歌うときに記憶力を駆使して思い出しながら歌いました。そして、気持ちを伝えるという点においては、頭ではなく心で伝えるべきであると思いましたので、そういう心構えで歌ったところ、あまり言葉としての難しさは感じませんでした。
<b>-日本が好きだということだが。</b>
日本にはプライベートでも遊びに来ます。いろいろなことを経験するために本当に頻繁に来ています。そして「観光」ではなく敢えて「遊びに来る」という表現を使いたいのですが、その理由が、何か大きな目的があるから来るのではなく、小さな楽しみや小さな経験のためにという感覚なんです。渋谷のレコード店で日本の最新曲をチェックしたり、六本木でうどんを食べたり、代々木公園で行われているフリーマーケットにもよく行ったりします。
<b>-アーティストになってよかったこと。</b>
少し滑稽に聞こえてしまうかもしれませんが、レコーディングをして自分自身の満足のいく結果が出せたときです。芸術家の方は皆さん同じだと思うんですよ。自分が作り上げた作品に満足できたときに芸術家になってよかったと思えます。他人から見て完ぺきには見えなくても、そういう満足感みたいなものがないと、やはりステージには立てないと思います。
<b>-影響を受けたアーティスト。</b>
わたしはまだまだ学ぶ立場ですので、「ここはいいところだな」と思ったら、対象が何であれ、そこから吸収しようと努力をします。日本に、秋川雅史さんというポッペラ(クラシックとポップスを融合したスタイル)歌手がいらっしゃいますが、彼を見たときに、自分も日本でポッペラ歌手として活動したいと思いました。秋川雅史さんが「千の風になって」を歌ったときに、日本の皆さんはポッペラ歌手という存在を受け入れる準備ができていると感じました。それから、西洋の方だとサラ・ブライトマンさんです。ポッペラの教科書・見本のような方ですので、そういった音楽を聴いて、わたしも韓国や日本、アジアで、男性として、男性歌手として、そしてアジア人として活動できればという憧れを抱いています。
<b>-グローバルに活動していく上で心がけていること。</b>
セルゲイ・ラフマニノフが書いた「ヴォカリーズ」というクラシック音楽があるのですが、それには歌詞がなく、声・音だけで演奏します。しかし、それを聴いて感動しない人はいないほどの曲なのです。つまり、歌詞や言語というよりも真心のこもった声が大事なのだと思います。どこに行ってもきちんと真心を込めて歌うこと、そういった心構えを持つことが大切だと思っています。
<b>-いい声を出すためにしている喉の特別なケアは。</b>
よく聞かれるのですが、「普段と同じようにしている」と答えています。しかし、普段のようにすることの方がむしろ難しいかもしれません。普段から歌唱に気を使っているということの裏返しにもなりますが、特にとりたてた方法はなく、運動したりしていつも歌えるようなコンディションを整えています。
<b>-独自の発声法や歌唱法について。</b>
わたしはもともとオペラ歌手でしたので、歌い方に深みや独特の響きを感じていただけると思います。この長所を活かしながらも、その点だけが目立たないように気をつけています。そして、聴いていただく方々に寄り添えるようなちょうどいい“接点”を探して歌うことを心がけています。
<b>-日本でのK-POPブームについて。</b>
韓国文化が優秀だからブームが起きているとは思いません。韓国の人々が常に新たな文化を求めているように、日本の方々も文化的側面で、多様性を求めているために起こったのがK-POPブームではないでしょうか。また、これは人間が本来あるべき姿でもあり、このような状況の中でタイミングが合ったことによって起こったともいえます。韓国のアーティストが日本で活動をする中で、日本の方々に多くの影響を与えていると思われがちですが、逆に韓国アーティストたちの方が日本からより多くの影響を受けているでしょう。現在のブームが単なる一過性のバブルではなく、文化の交流に一役買ってくれるものと期待しています。
<b>-日本のファンへメッセージ。</b>
日本でアルバムを発表することになりました。これまでの韓国アーティストとは少し違うと感じるかもしれませんが、それは音楽的カラーが違うからでしょう。わたしの音楽は、「韓国と日本」「クラシックとポップス」という区別をしないで聴いていただきたいと思っています。そして、歌に流れている感情を共に分かち合い、お互いを理解できる“架け橋”のような役割を担っていきたいです。これから、音楽を通して日本の皆さんに近づける時間を作っていきますので、応援よろしくお願いします。日本の皆さんは愛の眼差しで、歌うわたしのことを見てくださいます。そして耳をよく傾けて聴いてくださいます。そういう姿を見ると、歌う側もより一生懸命に尽くそうと思うんです。とても感謝しています。
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