先月末に閣議承認された日本の防衛白書は、8年連続して独島を「固有の領土」とした。これについて、韓国メディアは一斉に非難していた。
これまで韓国政府は日本に対し、「大人の外交」政策を取ってきたが、植民地解放記念日の光復節(8月15日)を前に日本に対する国民感情が高まることが予想される。こうした理由もあり、言葉だけでなく行動でメッセージを伝えるために独島訪問に踏み切ったとの見方が出ている。
旧日本軍の従軍慰安婦問題を含む歴史問題をなど、韓国政府が外交で消極的だとの批判も少なくなかった。そんな中、李大統領は国家元首として何かアクションを起こす必要があったという見方だ。
慎重論者は韓国が実行支配している独島を訪問することで、領土問題が国際紛争化し逆効果になると主張する。それでも李大統領は「強硬策」を取った。
李大統領が日本に対し、強い姿勢を取ったのは今回が初めてではない。昨年12月に行われた韓日首脳会談では、野田佳彦首相に対し公式議題に入っていなかった従軍慰安婦の補償問題を提起した。野田首相がソウルの日本大使館前に設置された「慰安婦の碑」を撤去するよう要請したのに対し、李大統領は、日本が誠意ある対応を見せなければ、慰安婦の碑が続けて設置される可能性もあると断固とした姿勢を示した。
これらを踏まえると、今回の独島訪問は李大統領が来年2月の任期終了まで領土問題や歴史問題で強気の姿勢を取るという意志表明だとも言える。
また独島訪問は、「密室処理」との批判を浴びて寸前に締結延期になった韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)をめぐる国民の不信感を払拭する狙いもあるとされる。李大統領が日本の大阪で生まれたこともあり、GSOMIA締結を進める現政権は「親日」と攻撃されることもある。
さらに政権末期で求心力が落ちた李大統領が国政運営での指導力を回復するための独島訪問との見方もある。
政界などでは、身内や側近の不正などもあり今月の世論調査で支持率が18%にまで落ち込んだ現政権が、独島訪問でムードを変え、行き詰った政局を転換させようとしているとの声も出ている。
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