韓国でMV(ミュージックビデオ)の視聴可能年齢をあらかじめ設定する事前審議は、創作の自由侵害などの点から、導入前より多くの議論を呼んできた。

 施行後は、この制度が定着する前に廃止案が発議され歌謡界では依然として同制度を認識できずにいる。

 同制度により、青少年たちが暴力的または性的な画面を簡単に目にしてしまうことを防ぐためMVの画面右には、視聴可能年齢を示した数字が表示されるようになった。

 一方で、放送局の審議を経たMVは映像物等級委員会の審議を受ける必要がない、とされている。この制度が施行されてから10日間で審議が要請されたMVは9件。最大2週間もかかる委員会の審議を待つと歌手の活動ができなくなってしまう、という理由から、早ければ1日で結果が出る放送局に審議を依頼する企画会社が多いようだ。

 先ごろ、あるグループは事前審議に反発する意図で、音楽が入っていないMVを発表した。事前審議をなくそうという改定案も発議され、国会に提出される見通しだ。

 この流れの中で、海外の音楽に比べ逆差別を受けてしまうという歌謡界の不満も出ている。政府は3か月間の試験運用をへて改善していくという計画だが、制度を運用する側も困り果てているのが現状。

 果たして何のための法案であるのか、疑問がもたれている。