【ソウル聯合ニュース】尖閣諸島の領有権をめぐり日中間の緊張が高まっていることを受け、韓日中3カ国が締結を目指している自由貿易協定(FTA)への悪影響を懸念する声が出ている。
 3カ国は10月にFTA交渉入りに向けた3回目の事前交渉を行い、11月20日にカンボジア・プノンペンで開かれる東アジア首脳会議(EAS)で3カ国首脳がFTA交渉の開始を発表する予定だ。
 韓国外交通商部関係者は19日、「3カ国首脳会議の延期や取り消しの話はない」と明らかにした。枝野幸男経済産業相は先ほど、「日中関係が大局的な見地から円滑に進むことを期待している」と述べ、FTAを中国の反日デモと結び付けない考えを示した。
 だが、不安は消えない。毎日新聞は、「(中国の反日)デモが長期化すればFTA交渉に影響が及ぶのは必至だ」と報じている。
 外交通商部の崔京林(チェ・ギョンリム)FTA交渉代表は「韓国と日本、中国は3カ国間のFTAの重要性を認識している」としながらも、「相手国との関係が悪化すれば、11月の首脳会談を実現できるかどうか不透明」との見方を示した。
 ソウル市内のホテルで19日に開かれた国際会議では、3カ国FTAの必要性と重要性が強調された。
 韓国の政府系シンクタンク、対外経済政策研究院の?昌在(イ・チャンジェ)研究委員はFTAの必要性について、▼3カ国の高い貿易依存度▼米国と欧州の景気低迷に伴う海外市場の不振克服▼東アジアのFTA締結促進――を挙げた。ただ、「過去の歴史と領土紛争など非経済的な要素がFTAの障害要因」と指摘。FTAを単なる貿易協定ではなく、北東アジアの平和と共同反映の第一歩として理解するよう求めた。
 一方、東京電機大学の阿部一知教授はFTAと関連し、「3カ国の友好協定や新たな経済ブロックの形成など、経済統合を期待するのは無理だ」と慎重な姿勢を見せた。個人の見解であるものの、日本政府の立場に近いとされる。
 韓国の民間シンクタンク、世宗研究所のキム・ソンチョル研究委員はFTA交渉の問題点について、経済的な側面では3カ国の競争関係を、非経済的な側面では軍事安保上の衝突の可能性や歴史問題による対立、域内での覇権競争、日本の「普通の国」志向などを挙げた。その上で、対立を乗り越えるためには可能な分野から協力を維持し、関係国間の自由貿易システムを構築しなければならないと強調した。

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