国情院の大統領選介入事件を捜査してきた水原地検の尹錫悦(ユン・ソクヨル)驪州支庁長が21日、国会で行われた国政監査で捜査に対する法務部の圧力や国情院の捜査妨害があったと暴露したため、22日の閣議では朴大統領の言及があるとみられていた。
朴大統領は11月2日から西欧を歴訪する予定で、政治懸案について公開的に言及できるのは10月28日の青瓦台(大統領府)首席秘書官会議しかない。閣議は大統領と首相が交代で週に1回開いているため、外遊前に朴大統領が閣議に出席することはない。
朴大統領の「長い沈黙」は検察が渦中の懸案を捜査中であるため、青瓦台が関与するのは適切ではないと判断したためとみられる。青瓦台関係者は21日に記者団に対し、検察への圧力疑惑などについて、「言及するものはない」とした上で、朴大統領は経済活性化や雇用創出に専念する方針だと強調した。野党陣営の「選挙介入」との主張は政争の具であるため、対応しないとの思惑がうかがえる。
ただ、青瓦台の思惑通りには進まないとの指摘が多い。政界では政権が発足から8か月で最大の危機に直面しているとの声も出ている。
朴大統領と青瓦台関係者は「国情院が前政権でやったことだし、選挙で国情院の支援を受けたこともない。われわれとは無関係」との立場を取ってきたが、国政監査で尹氏が主張した法務部長官の圧力疑惑や国情院トップの捜査妨害疑惑で攻撃のターゲットが現政権に移りつつある。法務部長官と国情院トップは朴大統領が任命した。
最大野党・民主党の田炳憲(チョン・ビョンホン)院内代表は22日、国会で開かれた緊急議員総会で、「政権の不当な捜査介入と圧力は国情院の不法(行為)が前政権ではなく、朴大統領と直接かかわっていることを自ら認めることで、座視できない」と批判した。党内の強硬派からは「大統領選の不服(申し立て)を行うべき」との意見も出ている。
不服申し立てについての議論が世論の支持を得られるかどうかは未知数だが、国民の関心を再び高められる可能性があるため、青瓦台にとっては悩みの種となっている。こうした状況で朴大統領が「無関係」との立場に固守し、沈黙を続けると世論が悪化する恐れがある。
外交・安全保障の面では支持を集めているが、人事や野党との関係などは良好ではないとの否定的な認識が強まる可能性もある。外交・安保でも北東アジアをめぐる日米中の緊張関係のなか、これまでの世論の支持も転換点を迎える可能性も否定できない。
日本の集団的自衛権行使に対する米国の支持と関連し、韓国政府が事前に対応しなかったことや、米国のミサイル防衛(MD)システムに入るとの観測が出て北朝鮮問題の解決に不可欠な中国から憂慮の声が出るなど、外交・安保状況も容易ではなさそうだ。
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