朝鮮建国の思想的枠組みを磨いた政治家・鄭道伝(チョン・ドジョン)が再注目されている。ドラマをはじめ出版界にまで鄭道伝ブームが起こっているのだ。

 正統派時代劇を復活させ視聴率10%台を記録している「鄭道伝」。中堅俳優たちの演技力と歴史歪曲のない忠実な考証が、40代以上の男性視聴者たちを釘づけにしている。

 同時代を背景にした18年前の「龍の涙」が王をかけた権力争いに焦点を当てたのならば、「鄭道伝」は激変期の偉大な思想家鄭道伝に照明を当てた。

 出版市場にも鄭道伝の風が吹いている。書店では鄭道伝を扱った歴史書や小説、数十種が読者を待っている。

 1997年に鄭道伝に対する大衆の関心を仰いだ学術書「鄭道伝のための弁解」が再出版され、「不滅の李舜臣」を書いた小説家キム・タクファンが鄭道伝の小説を出すなど、書店には鄭道伝コーナーが設けられるほど。

 李芳遠に消された後、逆賊と評された鄭道伝が民が主人となる社会を夢見た偉大な思想家だったという点を、本は共通して紹介している。深刻な両極化を経験した高麗末期~朝鮮初期の乱世が、今の社会像を照らしながら、鄭道伝の思想が注目を浴びているのだ。

 民の見解から現実政治の問題を解こうとした鄭道伝のような指導者の登場を人々は願っている。