安氏はソウル市内の政府庁舎別館で記者会見し、「さまざまな不足のある私がこれ以上、首相候補にとどまることは現政権の負担になるだけでなく、支えてくれる家族らが苦しむ姿を見るのが耐えられない」と辞退の理由を説明した。また、「私を信じて候補に指名した朴槿恵(パク・クネ)大統領に申し訳ない」と述べた。
朴政権発足後、首相候補者が辞退するのは発足当時に大統領職引き継ぎ委員会委員長の金容俊(キム・ヨンジュン)氏が辞退したのに続き2人目。
最高裁判事出身の安氏は、旅客船セウォル号の沈没事故発生後、批判が高まった官僚と民間の癒着根絶などを目指す公務員改革の看板となることが期待されていた。しかし、国会の人事聴聞会さえ開かれる前に辞退したことで、朴大統領にとって大きな痛手となる。
また、統一地方選(6月4日投開票)の前後に予定されていた内閣と青瓦台(大統領府)の組織改編の日程に支障が出るのは避けられなくなった。
安氏は「前官礼遇(公職者への退任後の厚遇)という誤解や非難を受けないよう行動に気をつけてきた」とした上で、「指名後にいくつかの疑惑で国民を失望させ申し訳ない」と謝罪した。
安氏をめぐっては、2012年に最高裁判事を退官後、昨年に弁護士事務所を開設したが、5か月間で16億ウォン(約1億6000万円)の収入を得ていたことが判明。安氏は11億ウォンを社会に寄付すると表明したが、過度な厚遇を受けたとの批判が高まり、辞退を求める声が出ていた。
セウォル号沈没事故の責任を取るとして先月、辞意を表明した現職の鄭ホン原(チョン・ホンウォン)首相の後任として、安氏は22日に朴大統領から指名を受けた。
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