ユン・ヨンジャさんは今春、奈良県の専修学校の教師を定年退職し、念願だった韓国留学に向け、9月1日からの3か月間課程で韓国語と韓国史、文化を学んでいる。このほど聯合ニュースのインタビューに、「35年間、日本の生徒たちに日本史を教えてきたが、これから韓国史を学び、両国の交流史を韓日の若者に伝えていきたい」と抱負を語った。
ユンさんは在日韓国人2世。愛知大で日本史を専攻し教師を目指したが、日本国籍でないため公立学校の教員試験を受けられなかった。大阪にある韓国系学校の金剛学園で教鞭(きょうべん)をとった後、結婚を機に奈良県に引っ越し、市立中学校の教師になった。
日本は他民族に対する差別が多く、中でも在日同胞は日本が植民地支配をした民族のため、差別がひどかったという。ユンさんは教師時代、差別を受けまいと日本名を使っていたと打ち明けた。子どものころに父親をなくし、周りにも在日同胞がいなかったため、自分のルーツをたどる環境ではなかった。日本人と結婚し、日本人になろうと心を決めたこともあった。
しかし、韓国を忘れて生きようとすればするほど、母国を恋しく思う気持ちは強まった。ユンさんは「遅ればせながら、今からでも自分のルーツと母国の歴史、文化をきちんと学び、のちの人に伝えたい」との覚悟を決めた。韓国語もほぼ独学してきた。
日本では主に日本近代史を教えていたが、それらの教科書が日本の植民地支配について占領者の目線で記述しているのに対し、韓国では植民地支配を受けた立場での歴史認識だけを掲げているようで、もどかしかったという。
3か月の短期課程を終えれば、まずは父親の故郷である韓国南部、全羅南道・海南を訪れるつもりだ。その後、韓国の大学院に進み、韓国史を本格的に学ぶ計画を立てている。
韓日関係を正しいものにするには、歴史に対する公平な認識と活発な交流の歴史を広く知らしめなければならないと考えている。将来的には日本大韓民国民団(民団)や日本の社会団体などで次世代教育のボランティアに携わりたいという。「自分がなすべきことを見つけたようだ」と期待を膨らませた。
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