聯合ニュースのインタビューに応じる江國さん=21日、ソウル(聯合ニュース)
聯合ニュースのインタビューに応じる江國さん=21日、ソウル(聯合ニュース)
やはり、江國香織の人気は絶大だった。21日午後、ソウル中心部の大型書店で行われたサイン会には、雨にもかかわらず開始前から大勢のファンが列を作った。

 江國さんは恋愛小説「冷静と情熱のあいだ」などで知られ、独特の感覚的な文体が日本のみならず韓国でも人気を集めている。

 韓国と日本の作家による文学朗読会に出席するため訪韓した江國さんは、サイン会に先立ち聯合ニュースとのインタビューに応じ、韓国訪問は6回目か7回目だが毎回興味深いと語った。

 特に、若い女性たちの姿がどんどん変わっていくようで面白く、「韓国の女性の方が(日本の女性よりも)自立しているような印象を受けた」という。

 日本で昨年1月に発売された小説「ちょうちんそで」が、先ごろ韓国で翻訳出版された。江國さんが「個人的にとても好き」という同作は、ほかの小説とは雰囲気ががらりと異なる。

 「隣室の男がやってきたとき、雛子は架空の妹とお茶をのみながら、六番街の思い出について語り合っているところだった」で始まる作品は、まるで1編のミステリー推理小説のように8人の物語をつづりながら、真実のかけらをひとつずつ組み合わせていく。

 54歳と、余生を送るにはまだ早い年齢で高齢者向けマンションに暮らす主人公の雛子は、「架空の妹」と絶えずおしゃべりしながら、情熱的だった愛も、幸せだった時間も、つらかった記憶も全てを流し去る。

 作品が見せる愛の風景は、うら寂しく物悲しい。架空の妹にすがって生きる雛子は、孤独な現代人と重なる。江國さんは「人が死んだ後に残るのは記憶だと思っており、記憶に関するものを書いてみたかった」と語った。

 一方、次回作については、久しぶりに若い女性が旅をする話を執筆中で、来年初めに連載予定だと明かした。

 政治面では日韓関係が冷え込んでいるが、韓日の男女の恋愛ストーリーを書いてみる気はあるかとの質問には、「今のところ予定はないが、そんな物語があるなら読んでみたい」と答えた。 

 江國さんは同日夕、ソウルの日本大使館広報文化院で開催される韓日の作家による文学朗読会に出席する。自著を朗読するほか、「マイスウィートソウル」で知られる小説家の鄭梨賢(チョン・イヒョン)氏と対談した。

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