昨年夏、蒸し暑くなり出した7月中旬。MBC放送局3階のドラマ局局長室の片隅で、タレントのチェ・ジンシルが、マネージャー1人とうつむいたまま泣いていた。ドラマ局局長が「話すことはない」と出て行ってしまった後、その場に残されたチェ・ジンシルはとても複雑な心境だった。KBSの新水木ドラマ『バラ色の人生』に出演するためには、MBCに専属契約している88話(1時間基準)の出演残余分の問題が解決されなくてはならなかったからだ。
ユン・ヨジョン の最新ニュースまとめ
MBCは残った出演分量を消化する前に、KBSドラマ出演を許可できないという立場をかたくなに守った。チェ・ジンシルが他の放送局出演を強行するのならば、放送出演禁止仮処分を申し立てるというMBC側の脅しが続くと、チェ・ジンシルは切羽つまった。
自身を大スターにしてくれたMBCを訪れ説得し、頭を下げて助けを求めたが、チェ・ジンシルは壁にぶつかったようにに挫折してしまった。結局、チェ・ジンシルがKBSへの出演を強行すると、仮処分申請がなされた。そして、ドラマ開始直前になって、MBCは申し立てを取り下げた。
これで勇気を取り戻したチェ・ジンシルは、夫の不倫によって離婚までされ、癌にかかって哀しい死を迎えるヒロイン“メンスン”役をドラマチックにこなし、役者として華麗に復活した。実生活でも波乱万丈だったチェ・ジンシルの結婚生活と、ドラマの中のメンスンが、不思議とオーバーラップして視聴者の涙を誘い、それによって視聴率も40%を超えた。一言でいえば“大ヒット”したということだ。
<b>『キツネちゃん、何しているの?』 コ・ヒョンジョン</b>
コ・ヒョンジョンの復活も、1本の映画のようだった。ミスコリア出身で「テレビをつけたら出ている」と言われ、高視聴率を記録したSBS『砂時計』のヒロインとして、男性たちの憧れだった90年代のスター、コ・ヒョンジョン。しかし、最も華やかな時代に財閥の御曹司と結婚し、女性スターの成功の公式をそのままたどった彼女にとって、離婚という試練は、決して小さなものではなかった。
再起に挑んだコ・ヒョンジョンが、復帰作に選んだドラマはSBSの『春の日』。しかし、反応はイマイチだった。ドラマの中で彼女は、相変わらずプリンセスのイメージであり、視聴者にはすぐ飽きられた。しかし、その後コ・ヒョンジョンは変わっていった。今年の夏、作家主義的な演出を見せてきたホン・サンス監督とタッグを組んだ映画『浜辺の女』で、型破りな変身を披露したのだ。たとえ20万人程度の観客動員に留まったとしても、映画の中のコ・ヒョンジョンは大胆だった。
映画公開後にキャスティングされたドラマ『キツネちゃん、何しているの?』での彼女は、さらに挑戦的だ。コ・ヒョンジョンが演じている役は、アダルト向けの雑誌にポルノ小説を書く3流女性ライター。視聴者の反応は爆発的だった。
モノマネをしたり、友人の弟と一夜を過ごしたかと思えば、想像ではあるが熱い情事を見せる彼女からは、すでに元・財閥3世夫人というイメージは見当たらない。劇中、コ・ヒョンジョンの母親として登場するベテラン女優ユン・ヨジョンは、コ・ヒョンジョンについて、「私がこのドラマをやれと言った。いつまでCMの中のお姫様でいる気かと、そろそろ現実に帰ってこいと言った」と伝えた。
チェ・ジンシルとコ・ヒョンジョンには共通点が多い。一時、トップスターとして過ごし、華やかな結婚で羨望の眼差しを一身に浴びたものの、離婚を経験した。しかし、彼女たちは再び歩き始めている。過去の栄華を忘れて今、真の演技を見せている。『キツネちゃん、何しているの?』のキム・ナムウォンPDは、「視聴者たちが彼女たちに反応する理由は、今や彼女たちがしばし過ぎ去って行く“スター”から、“真の役者”の姿を兼ね備えているため」と説明した。
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