数々の厳しい訓練を経たうえで、最後に20キログラムの装備を持って20キロメートルを早足で歩く行軍を行ない、海兵隊の訓練がすべて終わる。
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それまでの訓練生は黄色い名札を軍服につけているが、すべての訓練が終了した後は赤い名札になる。その赤い名札の授与式によって、正式に海兵隊の隊員として認められるのだ。
人は自分の人生において、限界以上に精神と体力を鍛える時期がどれほどあるだろうか。確かに、スポーツ選手が頂点を目指して体力と精神を強化することはよくあるが、それは自分の「一流選手になりたい」という目標に向けて取り組んでいることであって、あくまでも主体は自分の目標達成である。
しかし、軍隊はそうではない。あくまでも国民を守るというのが一番の優先事項であり、そのための歯車にならざるを得ないのが軍人だ。
そんな中で、自分がどこまで気持ちをしっかり持って苛酷な訓練に取り組んでいけるのか。
スポーツの一流選手とは違った意味で、厳しい訓練に取り組むための自分の動機づけが必要であり、国民を守るためにがんばることが軍隊における訓練の本質になっている。
■海兵隊で何を得たのか
海兵隊の訓練が厳しいのは、志願兵だけで構成されていることが大きな理由になっている。みんなが自ら望んで海兵隊に来ているのだ。しかも、訓練が一番厳しいことで有名なのに、それでも海兵隊に来ようとしている。
そういう志を持った人たちが集まっているという意味で言うと、軍隊の中でも海兵隊は訓練に対する取り組みが半端ではない。
そういう別格なものに挑んでみようという人たちが確実にいる。その人たちには、「訓練が厳しいほど自分には乗り越えていかなければならないものがある」という強い意志が備わる。
兵役のない世界からすれば想像しにくいことだが、人は生まれた国で育っていく中で、信念として持たざるを得ないものもある。「海兵隊に志願する」というのもその一つと言えるだろう。
海兵隊で兵役を全うしたヒョンビン。彼は海兵隊で何を得たのか。
「自分の限界に挑んでみたくて海兵隊に志願したのです。身体的にも精神的にも、新しい作品に入る度に気持ちを込めて演技してきましたが、軍隊生活で生じる限界はそれともまた別のものじゃないですか。30代で俳優に戻る前に、今の時点で自分を一度見つめなおし、今後の将来に向けてじっくり考えてみたかったのです」。
「厳しい訓練が続き、もう耐えられないと観念した瞬間に周囲を見ると、他の人たちは同じ状況で耐えているじゃないですか。それで、私も耐えることができました。もし、私がここで倒れてしまったら、同じように倒れてしまう人も出てくるだろう。それではいけないから、必死に耐えたんです」。
本当に厳しい訓練を乗り越えたことで、ヒョンビンは一回りも大きな男になった。海兵隊での経験は、今後の俳優人生にきっと生きてくるだろう。
(文=康 熙奉〔カン ヒボン〕)(ロコレ提供)
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