『テバク』は5月2日に第11話の放送となる。視聴率を見ると、第9話が8.0%だったが、第10話は8.9%となり、0.9ポイント上昇している。(写真:韓国SBS『テバク』公式サイトより)
『テバク』は5月2日に第11話の放送となる。視聴率を見ると、第9話が8.0%だったが、第10話は8.9%となり、0.9ポイント上昇している。(写真:韓国SBS『テバク』公式サイトより)
『テバク』は5月2日に第11話の放送となる。視聴率を見ると、第9話が8.0%だったが、第10話は8.9%となり、0.9ポイント上昇している。このアップは大きい。いい流れをつかんだ『テバク』が、さらに視聴率を上げることができるだろうか。

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■『チョ・ドゥルホ』を追う『テバク』

 日本はゴールデンウィークの真っ只中で、5月2日は平日にもかかわらず朝の通勤電車がいつもの月曜日と違って、それほど混雑していなかった。連休の谷間ということで、休みにした会社や学校が多かったのだろう。

 まさに“ゴールデンウィーク気分”にひたりきっている日本とは異なり、韓国はいつもどおりの月曜日である。週の初めは誰でも気分がブルーなものだが、1日の勤めが終わると、夜に「月火ドラマ」の放送がある。

 地上波3局を見ると、KBSが『町の弁護士チョ・ドゥルホ』、MBCが『モンスター』、そして、SBSが『テバク』である。この中で視聴率トップの座を維持しているのが『町の弁護士チョ・ドゥルホ』だ。大物俳優パク・シニャンが久々にドラマに戻ってきて、弁護士として大活躍している。

 これまで数々の高視聴率ドラマの主役を演じてきたパク・シニャン。その神通力はまだまだ健在というところだろう。

 しかし、その神通力もいつまで通じるかはわからない。同時間帯で放送されている『テバク』が上昇気流に乗って『町の弁護士チョ・ドゥルホ』の視聴率を奪う構えを見せているからだ。


■第9話がターニング・ポイント

『テバク』の視聴率が第10話で0.9ポイント上昇したのには理由がある。カギを握るのはむしろ第9話なのである。

 この第9話は『テバク』のストーリーの中で特に重要な回となった。

 老論(ノロン)派の重鎮の金昌集(キム・チャンジプ)が使節として行っていた清国から帰ってきて、王宮内で緊迫感が増していった。

 史実を見ても、金昌集はヨニングン(後の21代王・英祖〔ヨンジョ〕)を強力に後押しした人物であり、彼の登場は19代王・粛宗(スクチョン)の後継者争いがますます激化することを象徴していた。

 案の定、すでに世子(セジャ/王の正式な後継者)に決まっていた景宗(キョンジョン)が動揺して体調を崩してしまう。これだけに、金昌集の登場がいかに物語に波風を起こしているかがわかる。

 しかも、金昌集を演じているのが、名脇役として知られる俳優のイ・ジェヨンである。本格派の時代劇が好きな人にとっては、たまらないキャスティングになっている。

 もう1つ、第9話で見逃せなかったのは、チャン・グンソクが演じる主役のテギルが粛宗と初めて面会したことだ。これは、世間の底辺で生きてきたテギルがようやく王宮にデビューした瞬間でもあった。


■ネットで評判になった『テバク』

 テギルと粛宗の面会シーンは見応えがあった。

 特に、テギルを見る粛宗が印象的だった。それは、得体の知れない若者に警戒しつつも、どこか温かく見守るような慈愛のかけらが表情に潜んでいたからだ。冷徹な粛宗にしては珍しいことであった。

 テギルに扮するチャン・グンソクの溌剌とした演技も良かった。やはり彼は“華”を持った俳優だ。他人に踏みつけられるような場面ではなく、両班(ヤンバン)のような高貴な服装のほうがずっとよく似合う。

 今後はそんなスタイルが多くなっていくのだろう。画面も大いに映えてくるはずだ。

 以上のように第9話は見どころが多かったのだが、実はこの第9話は第8話より視聴率が0.7%下がっている。

 ドラマが非常に面白かったのに、残念な結果になってしまった。

 しかし、「『テバク』が面白い」という評判は瞬時にネットで広まり、それが第10話で視聴率が0.9%上昇するきっかけとなった。

 やはり面白くなれば視聴率にすぐ反映される。韓国の場合はその波及度がいつもきわめて速いのである。


■チャン・グンソクへの期待が高まる

 第10話までの『テバク』。視聴者の意見は次のように集約できる。

◆粛宗を演じるチェ・ミンスのカリスマ性あふれる演技が大評判になっている。
◆テギルが最強の師匠キム・チェゴンに弟子入りして厳しい修業に明け暮れたときから、チャン・グンソクの演技に対する評価が高まった。
◆李麟佐(イ・インジャ)に扮するチョン・グァンリョルの曲者(くせもの)ぶりが好評である。
◆女優陣(イム・ジヨン、ユン・ジンソ)の演技は満足度が高くない。
◆ヨニングン(後の英祖)に扮したヨ・ジングがよくやっている。彼は、子役から大人の俳優へと確実に成長している。
◆脚本は序盤で中だるみがあった。本格派時代劇としてスタートしながら、物語の主導権が若者たちに移ったあたりで方向性がやや変わった。しかし、中盤に入ってから再び本格派時代劇として緊迫感が増して面白くなった。

 このように、おおむね好評を博している『テバク』。今後は主人公のテギルが物語を大きく動かす軸となる。

 それだけ、チャン・グンソクの演技が重要になる。チェ・ミンス、チョン・グァンリョルというベテラン俳優を相手に、チャン・グンソクがどのように魅力的なテギル像を作っていくのか。

 チャン・グンソクへの期待は高まる一方である。


文=康 熙奉(カン ヒボン)
(ロコレ提供)

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