■予備役が待っている
韓流スターが入隊したというニュースが最近は多くなっている。芸能界での活動に合わせて入隊を延期していた人たちも、30歳が近くなってこれ以上の延期が難しくなり、続々と兵役入りしているのである。
入隊すると、現役兵としての軍務期間はどのくらいになるのか。具体的に見ると、次の通りである。
・陸軍と海兵隊/21か月
・海軍/23か月
・空軍/24か月
要するに、陸軍であれば、1年9か月後には除隊してくる。
しかし、この除隊は本当の意味での「兵役の終わり」を意味するものではない。なぜなら、1年9か月の軍務が終わっても、それは「現役兵の終わり」にすぎないからだ。
韓国の徴兵制では、現役兵を終えた人は予備役に編入される。今度は予備役としての軍務が待っているのである。
それでは、予備役とは何か。
これは、いざ戦争になったら再び現役兵として銃を持つ人たちのことである。平時には社会で一般人として活動するが、籍そのものは軍に残っていて、予備役として戦時に備えているのだ。
■完全に終わるのは40歳
戦争になったら再び銃を持って戦うことになるのが予備役である。
そうであるならば、軍務の水準を維持しておかなければならない。早い話が、銃の撃ち方を忘れてしまっては困るのである。
そこで、腕をさびつかせないためにも定期的に訓練を継続させなければならない。それが、兵役の第二段階である。
まず、除隊してから4年間受けるのが「動員訓練」だ。
対象者は1年間に28時間ずつの訓練を受ける。普通は、2泊3日の合宿形式で行なわれることが多い。ここで、現役兵時代に習った軍務を復習する。
4年間の「動員訓練」が終わると、今度は2年間の「郷防訓練」に移る。ここでは、1年間に20時間ずつの訓練を行なっていく。
以上のように6年間の訓練をこなしても、まだ兵役は終わらない。
最後に「民防衛訓練」が待っている。この「民防衛訓練」は40歳になるまで受けなければならない。
その中身は、1年目から4年目までは年間4時間の訓練を実施。5年目以降は年間1時間の訓練に変わる。
ようやく40歳になった段階で兵役は完全に終了するのである。
■精神的な負担が大きい
予備役の訓練は、韓国各地にある専用の訓練所で行なわれる。
一旦は除隊した韓流スターも、スケジュールを調整して定期的に訓練所に出向いている。こうした場所で最悪の事件が起きたのが2015年5月13日だった。
ソウルの予備役訓練所に出向いて射撃訓練を受けていた予備役の男性が、突然銃を乱射してしまい、たまたまそばにいた2人を死亡させる事件が起きている。
この男性は、乱射騒動を起こしたあとに自殺してしまった。彼のズボンのポケットには「みんなを殺して自殺したい」という遺書があった。
自殺願望があったのかもしれないが、巻き添えになった人はあまりに不運だったとしか言いようがない。本当に不幸な出来事だった。
こうした事件からも明らかなように、銃を扱う軍事施設はいつも危険と隣り合わせなのである。こういう場所に出向いて、韓流スターも除隊後の兵役に励んでいるのだ。
韓国の男子には兵役の義務があるが、それが40歳まで続くという意味でも、精神的な負担が大変大きい。
日本には徴兵制がないが、韓国の現実を知っておくことも、韓流スターの立場を理解するうえで必要なことかもしれない。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
(ロコレ提供)
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