韓国から日本に来た人が、どこで快感に酔いしれるのか。
ある韓国人女性の話。
「銀座に行って三越に入ります。買い物をするでしょ。接客がすばらしいので、自尊心をくすぐられるんですよ。買ったものを手提げ袋に入れて渡してくれたあとも、腰を直角に折って礼を言ってくれます。そこまではわかるんですが、私が帰ろうとして何歩も遠ざかって、ふと振り向くと、こちらを向いてまだ頭を下げているんです。考えられますか。もう私は帰った人間なんですよ。それなのに、いつまでも頭を下げています。それを見た瞬間、背中がゾクゾクするほどの快感があります。『あ~、日本に来て良かった』って心から思えるんですよ」
この話を聞いて、すぐに納得できた。
私(康熙奉〔カン・ヒボン〕)自身も韓国のデパートの接客ぶりをよく知っているからである。
たとえば、「ロッテ」でも「現代」でも、名が通ったデパートに行ってみる。服を選んでいると、女性店員が寄ってくるが、もう客を値踏みしている雰囲気が表情からありありとわかるのである。
■飛行機の中で言われた一言
言葉使いはていねいだが、目がまったく笑っていない。「お客様は神様です」と思っていないどころか、「このお客は何者?」という表情が垣間見えてしまう。一応、表面的には丁寧なのだが、心がまったく伴っていないのである。
しかし、彼女たちに責任があるとは思えない。韓国の女性はもともと接客に不向きなのである。たとえ仕事とはいえ、見ず知らずの人に底抜けの笑顔で対応することに慣れていない。これはもう国民性としか言いようがないのだ。
1392年から1910年まで続いた朝鮮王朝時代は、儒教の価値観が強く浸透していて、男尊女卑が徹底されていた。この当時、女性は低い身分に置かれながら必死に生きてきた。愛想よくなどしていられなかったのだ。その風潮が今も残っているのではないかと思えるのだが…。
さらに、接客がいい場所としてパッと思い浮かぶのは、デパートの他には飛行機の中である。特に、キャビンアテンダントは接客のプロと言われている。
ただし、韓国の場合は見事なくらいに先入観を覆してくれる。
韓国の飛行機に乗ったときのことである。缶ビールのお代わりを注文したら、きつい調子で言われてしまった。
「3つ目ですよ。これで終わりです」
さすがに私も3つ目で終わりにしようと思っていた。しかし、あからさまに言われてしまうと、立つ瀬がない。酔いがいっぺんにさめてしまった。
■愛想がいい人は意外にも?
別のあるとき、キャビンアテンダントが持っていたポットをうっかり傾けてしまい、座席にいた私の脚にかなりのお湯がかかったことがあった。
「ヒャー」
あまりに熱くて悲鳴をあげてしまった。
ただし、お湯を乗客にかけた当人はボーッと突っ立っているだけ。
「そんなに熱いかしら?」
そんな表情に見えた。
私の大げさな反応を見抜くところはさすがだが…。
一事が万事なのである。
韓国の航空会社のキャビンアテンダントはプライドが相当に高いようで、「私は乗客より上」と思っているフシがある。当たっているかもしれないが、それを表情や口調に出してはいけない。
意外なこともあった。韓国の航空会社の飛行機に乗ったのに、やたらと愛想がいいキャビンアテンダントがいたのだ。目が素直に笑っている。客の値踏みもしていない。
「彼女は韓国の女性ではないな」
そう思って名札を見たら日本名だった。
「なるほど」
大いに納得した次第だ
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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