韓国における今までの芸能事務所は、マネジャーから独立した人が代表となるケースがほとんどだった。しかし、最近はそんな傾向に大きな変化があらわれている。(写真提供:ロコレ)
韓国における今までの芸能事務所は、マネジャーから独立した人が代表となるケースがほとんどだった。しかし、最近はそんな傾向に大きな変化があらわれている。(写真提供:ロコレ)
韓国における今までの芸能事務所は、マネジャーから独立した人が代表となるケースがほとんどだった。この場合、代表が芸能界をよく知っているという利点はあったが、他の世界のことは知らず、人脈も薄かった。それによって、他のジャンルに進出するといった事業の拡大には向いていなかったのだ。しかし、最近はそんな傾向に大きな変化があらわれている。

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■ビジネスモデルが変わった!

 最近の芸能事務所は、スターの引き抜きや会社の合併を行なって、規模をどんどん大きくしている。

 さらには、外部の資本が芸能事務所の収益の高さを評価して、どんどん投資をするようになっている。

 こうした流れの中で、有力な芸能事務所は資金力が潤沢になってきた。特に、巨大市場となる可能性が高い中国でいち早く成功した芸能事務所は、今後も規模の拡大に邁進するだろう。

 もちろん、韓国の芸能事務所で名が知られているのは、「東方神起」や「少女時代」を抱えるSMエンターテインメント、「BIGBANG」が所属しているYGエンターテインメント、「2PM」を育てたJYPエンターテインメントなどである。

 この3つが3大事務所と言われてきたが、最近は「EXO」で大成功をおさめたSMエンターテインメントが1強の様相を見せている。

 こうした芸能事務所は、かつてはコンサートとCD・DVDの制作で収益をあげていたのだが、今は総合エンターテインメント会社として飛躍してきている。


■スターの活動範囲が広がった!

 特に、巨大化する芸能事務所は、バラエティ番組やドラマといったコンテンツを自ら制作して、新しい収益モデルを確立しようとしている。

 大きいのは、スターという絶対的な人材を確保していることだ。それを単体のまま動かすのではなく、コンテンツ制作に大いに生かすことで、収益の拡大が見込めるようになってきた。

 スターの活動範囲が広がっていることが、有力な芸能事務所に新しいビジネスチャンスをもたらしているのは確かだ。

 以前なら、スターは特定のジャンルで精一杯の活動をする傾向が強かったが、今は、音楽・演技・バラエティといった多様なジャンルを1人(あるいは1組)でこなす例が増えている。

 また、各ジャンルの垣根が低くなっていることも、有力な芸能事務所にとっては追い風になっている。

 しかし、憂慮する声も多い。

 というのは、資金力がある芸能事務所がジャンルを広げていくと、コンテンツの多様性が失われる危険性があるからだ。


■巨大化の問題点

 わかりやすく言えば、巨大化した芸能事務所が市場を独占してしまうと、中小の芸能事務所が淘汰されてしまう恐れがある。

 それでなくても韓国では、財閥に象徴されるように、どんなジャンルでも特定の企業に
利益が集中しやすい。

 それが芸能界でも起きてしまうというわけだ。

 その他にも問題がある。

 収益性を追求ばかりしていると、売れるコンテンツにこだわりすぎて、似たようなものが供給される結果になりかねない。

 事実、新人が次々にデビューするのだが、世間がアッと思うような独自性をもった人(あるいはグループ)はほとんどいない。みんな、先輩の流れを忠実に受け継いでいるようにも思える。

 このあたりが難しいところだ。

 巨大化というのは、当たると莫大な収益を得られるのだが、その反動で「マンネリ」に陥りやすいのである。

 ますます巨大化する韓国の芸能事務所。ファンに飽きられたときが、巨大化の終焉となるかもしれない。


文=「ロコレ」編集部
(ロコレ提供)

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