【1】十六世紀末に豊臣秀吉が朝鮮を侵略したため、貴重な文化財とともに重要な文書類が焼失した。その際大部分の「族譜」も消失してしまい、どさくさに紛れて、血筋の不確かな人が「族譜」を改造して名家の一員になったケース。
【2】十八~十九世紀に豪農が台頭し、お金で没落貴族の「族譜」を買って両班になったケースや国家に穀物などを寄付したり、戦乱で功を立てて両班になったケースもあったようです。
【3】一八九四年の身分制度廃止、一九〇九年の民籍法により苗字を届け出るとき、日本のように地名など身近なところから創氏改名したのではなく、由緒ある両班の名前を名乗ったケース。
ざっとこのような経緯から韓国人全員が由緒ある血筋の持ち主になったのです。
【3】に見られるように、韓国人のDNAには由緒ある血筋に対する憧れが今なお脈々と流れています。この点を押さえないと韓国人を見誤ります。
それにしても何と日本人は姓名に対して淡白なことか!
韓国人は憧れの姓に食い込みたいという願望がみなぎっている反面、日本人は分をわきまえ山の下に住んでいるから「山下」、村の中だから「中村」、田んぼと池があるから「池田」等と名付けたため、日本の姓は約三十万を数えますが、韓国は名門の苗字に集中したため二百三十前後の姓しかありません。最近は帰化人が増えたため苗字の数が増えていますが、それでも千前後です。
※両班:高麗・朝鮮時代の科挙に合格した階級の総称で文科・武科に別れていたので両科を称して両班と呼ばれ、後の支配階級をさすようになった。
※文=権鎔大(ゴン・ヨンデ)韓日気質比較研究会代表の寄稿。ソウル大学史学科卒業、同新聞大学院修了。出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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