韓国のドラマは徹底的にお互いの言い分を交わして大騒ぎしながら終結に向かいます。
日本の場合その場の空気を読み、言われなくとも身を引くとか、謙譲の美を意識して何も言わなかったりしますが、その意図が汲まれなかったときは、何も言わなかった分だけストレスが溜まります。韓国でそんなことしたら相手の言い分を認めたことになりますから自分の言い分を絶対に譲りません。そこには「あうんの呼吸」や「空気を読みさっと引く」シーンは余りありません。日本より感情をむき出しにして表現するので自然騒がしくなるのです。それに声が日本人より大きいときているのでなおさらです。「うるさい」分だけ発散できますから、その後はカラッとしストレスは溜まりません。韓国ドラマのパターンはこのように自己主張し合いながら愛情を深めていきます。余計な干渉をする、愛情の押し売り、などうんざりする場面がありますが、その行為の裏には相手への強い愛情が横たわっています。
いざというときには体を張って守るという強い慈しみがありますので、最後には納得し丸く収まります。
日本の場合「何も言わず」に相手や全体のために自己犠牲的な態度をとることが多いですが、「言わなきゃ損だ」という韓国の感覚と「言わなくても……」という日本の感覚が時には誤解を生みますので、ここをしっかり押さえましょう。
韓国に行ったことのある方たちは道端や街角で韓国人が声を張り上げ争っている様をよく見かけたと思いますが、必ずしも喧嘩している訳ではありません。日本の皆さんから見ればその喧騒に驚くことでしょう。洗練されていなく感情むき出しで騒がしいかもしれませんが、それが愛情の表現だとしたら納得できるのではないでしょうか。
こんなに日韓関係が悪くとも日本のテレビ(BS含む)で韓国ドラマが二十本近く放映(二〇一三年当時)されていたのはこの騒がしさの中に日本の皆さんの心に響く何かがあったからではないでしょうか。
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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