中国ではじめて会った地方空港の航空会社の関係者と夜を明かして酒を酌み交わし兄弟分になったら、飛行機が着陸するごとに払うハンドリング料を半額にしてくれたという嘘みたいな話が成立しました。このような体験は地方ごとに大なり小なりよくありますが、徹底的に飲まなくてはならないので体が持ちません。
ある地方では爆弾酒を作り相手を酔わすことに成功しました。中国では度数が五十度を超える白酒バイチューを飲まされるので、宴会の前に酔わない薬や健康食品を飲んでから挑みますが白酒が相手では太刀打ちできません。そこで頃合を見計らって、爆弾酒を製造(?)します。
爆弾酒を飲ませますとだいたい三、四杯で相手は酔います。爆弾酒の度数は大体二十~三十度くらいですから、五十度のお酒で鍛えられている中国人にとっては何でもないはずですが、コロッとまいるので不思議でした。おそらく胃が飲み慣れていないお酒を受け入れると、その備えができていないので早く酔うのだと思います。
このことに味をしめ宴会ごとにウイスキーとビールを準備して挑みましたが、惨敗したこともありました。例のごとく白酒をある程度飲んだ後に爆弾酒を作り優位に立とうと目論見ましたが通じませんでした。相手はこちらが作った爆弾酒を飲み干した後、逆提案してきました。ビールに少量のウイスキーを飲んでも酔わないからと、「水爆」を提案してきました。
相手がその存在を知っているとは思えませんでしたが、恐怖の飲み方「水爆」を自ら作り飲み干した後、こちらにもグラスを差し出し促すのでこちらがはじめたことでしたから飲まない訳にはいかなくなりました。
「水爆」とは爆弾酒の逆で、ウイスキーの入ったグラスに申し訳程度にビールを入れて飲むものです。その爆発力は数十倍効果があります。想像してみてください。ビールグラスにウイスキーが並々つがれ、申し訳程度にビールを入れて飲むのですからその威力は絶大です。「水爆」をやっとのことで二杯飲み干し宴会がお開きになった後、どのようにホテルの部屋に帰ったか記憶がありません。
上には上がいるものだと兜を脱ぎました。恐るべし中国人!
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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