サムスン、現代自動車などのオーナーも、当時としては採算面やいろんな状況からして不可能と思われた半導体、自動車産業に進出して今日の成功を収めました。オーナーではありませんが、ポスコ（製鉄会社）も当時の韓国の経済水準では製鉄産業を興せる技術をはじめとするいろいろな要素が備わっていないと最初は欧米諸国や日本から足蹴にされましたが、日本の心ある方たちの協力を得て朴パク泰テ俊ジュン社長は世界的製鉄会社浦項ポハン総合製鉄株式会社を作りました。これぞ「成せばなる」の精神です。
もちろん、韓国人は独裁者賛成論者ではありません。行き過ぎた権力の乱用は四・一九学生革命、五・一六軍事革命、八十年代の民主化運動などでゆり戻し、その過ちを果敢に打ち壊します。
話がだいぶそれましたが、このような歴史的背景だけでなく、北朝鮮と対峙している韓国では男性に兵役の義務があります。成人した男性は陸軍、海軍、空軍（本人の希望でどれかに入隊する）に入隊し、一定期間軍隊で生活しなければなりません。人の命を扱う軍隊では当然の如く上意下達で上官の命令は絶対です。撃てといわれて撃つ前に「なぜ撃つのですか」とか「今じゃなければいけないのですか」と言っていたのでは敵に殺されかねません。
このように韓国人のDNAには上の人を敬う、下の人の面倒を見るという上下関係が体に刷り込まれています。電車の中で老人が来たらサッと席を譲るのを見ればわかると思います。
但し、最近は席を譲らない若者が見られて残念ですが……。
文＝権 鎔大（ゴン ヨンデ）
出典＝『あなたは本当に「韓国」を知っている？』（著者/権鎔大 発行/駿河台出版社）
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