航空会社に勤務していたとき、日本の十都市とソウルを結ぶ新規路線を締結しました。その後日本での任務を終え、ソウルで本社勤務をしていたときに発令をいただきました。日本での経験を活用するためでしょうか、会社は私を思いもしなかった中国路線新規締結の責任者に任命しました。日本は幼少のころから育った場所ですから、言葉に不自由がなく多少事情にも通じていましたが、中国はまったくといっていいほど状況がわからない白紙状態でした。もちろん内示がなかったため、言葉やお国柄を事前に勉強する期間も与えられませんでした。けれども、営業の第一線の現場で育った私にとって、本社勤務は息の詰まる思いでしたから二つ返事でお引き受けしました。
当時、中国路線は正式な定期路線がなく、いつでも当局が取り消せる臨時の不定期便を運行しているに過ぎませんでした。早く定期便化し、さらに地方路線も拡大するのが私に課せられた仕事でした。日本で各都市と交渉してきた経験から、仕事上は不安がありませんでしたが、その楽観が悲観に変わるのにそう時間はかかりませんでした。
日本では、地方都市の乗り入れが県民の海外旅行を便利にし、また韓国からの観光客により地方経済が潤う効果から、航空会社の乗り入れに各県とも最大限の便宜を図ってくれました。就航時のお披露目パーティーの費用を分担してくれるばかりか、韓国からの来賓の車の手配、ホテル利用の便宜等、県庁が就航に関する仕事を積極的にサポートしてくれました。
各県のバックアップと熱意は、外国航空会社の乗り入れに対する先行投資だと受け取りました。
これは日本全国の都市に共通した支援でしたが、中国では事情が違い、初便を飛ばす直前まで手筈が整わないことが多々ありました。テープカットの韓中要人の並ぶ位置、VIPのもてなし、パーティーの挨拶の順番や座席の配置、ホテルでのルームの割り振りなどが事前に決まらずやきもきし通しでした。明日初就航便が飛んでくるのに前日まで何も決まってないという状況は、日本では考えられないことです。
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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