「彼の立場を考慮して」要求額の二十%しか払わないのは、あんまりではないかと思われる読者のために申し上げますと、一般に中国の商店などでは提示額の二十%が適正価格と言われていますので、言い値の五十%で買ったと喜んでいては損をします。ちなみにまけてくれても韓国では二十、三十%、日本ではせいぜい五、十%ではないでしょうか。
私がこの交渉で要求額を低く抑えられたのは、先に就航していた日本の航空会社のアドバイスを事前に受けていたからです。「日本では考えられないことにもお金を要求されるから気をつけたほうがいい」という忠告を受けたため最後まで粘れたわけですから、この紙面を借りて感謝いたします。
私は、この古都での交渉で新しい発見をしました。人間は話す言葉で態度が変わるという事実です。
最初、交渉のテーブルに着いたときは中国語でしたので、普段のように公務員特有の居丈高な態度でしたが、日本語を話しはじめたとたん丁寧になり、ソフトな態度になるのですから驚きです。日本人的になり約束を守るのですから。
昔、韓国人上司に韓国語の居丈高な口調で「ああせい、こうせい」と命令されましたが、話を日本語で振ると急にやさしくなり、「~だろう、~じゃないか」とトーンダウンしますので、できるだけその重役とは日本語で話すように仕向けた経験を思い出しました。もちろん日本語を話したがる上司でないとこの手は使えませんが……。念のために。
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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