【ソウル聯合ニュース】韓国の憲政史上初めて、現職大統領として検察の事情聴取を受けることになった朴槿恵(パク・クネ)大統領が、自身の側近を弁護士に選任し、捜査の準備に入った。 朴大統領が15日、親友の崔順実(チェ・スンシル)容疑者の国政介入疑惑をめぐる検察の聴取に向けて代理人に選任した柳栄夏(
ユ・ヨンハ)弁護士(54)は検事出身で、朴大統領と長年の付き合いがある。早ければ今週中にも行われる聴取に備える上で適任と判断したようだ。 柳氏は7年間検事として働き、その後は国会議員総選挙に3回出馬した経験も持つ。2007年のハンナラ党(現セヌリ党)の大統領選候補者選びの際に朴氏の法律支援団長を務め、10年にも法律特別補佐官として朴氏を支えた。朴大統領が信頼を寄せ、助言を求められる数少ない法曹人でもある。 朴大統領の支持率が5%(韓国ギャラップ調査)に急落し、退陣を求める抗議集会に100万人(主催者側推計)が集まるほど、一連の疑惑をめぐり世論が悪化しているなか、柳氏ほど「忠誠心」を持って捜査に対応する弁護士は探し難かったようだ。 柳氏はこの日、弁護士に選任されたばかりで事件に関する検討の時間が必要とし、検察側に聴取の先送りを要請した。検察は遅くとも16日までは朴大統領の聴取を行うとした従来の立場を固守したという。 柳氏は引き続き、検察側と協議し具体的な聴取の日時や場所、方法を取り決めることになる。聴取の方法や場所の調整も、弁護士に与えられた任務だ。青瓦台(大統領府)は大統領の国政遂行への支障を最小限に抑えるため、書面による聴取を望んでいるが、検察は疑惑を直接追及し、捜査に手心を加えたとの批判を避けるため、対面での聴取が必要だとの立場を示している。 柳氏と青瓦台も厳しい世論を踏まえ、最終的には対面聴取を受け入れる見通しだが、聴取の場所については現職大統領が検察庁舎に赴くという事態だけは回避したい考えとみられる。 同時に、柳氏は青瓦台の参謀らと協議し、どういった論理で弁護するかを決めることになる。検察はひとまず参考人として朴大統領を聴取するが、この先、容疑者に切り替える可能性もないとはいえない。 柳氏は、崔容疑者の私物化が疑われている文化支援財団「ミル財団」とスポーツ支援財団「Kスポーツ財団」の設立と運営に関する朴大統領の指示は国政遂行の一環であり違法行為には当たらず、その過程での崔容疑者らの不正は朴大統領には知り得なかったとの論理で弁護すると予想される。 また、両財団に対する資金拠出を大企業に強要したとの疑惑については、朴大統領は財団が国政基調に沿って運営されるよう業務指示を出しただけで、違法行為を指示したことはないと訴えるとみられている。 一方、演説文などの資料が発表前に崔容疑者に流出していた件については、朴大統領本人が相当部分、事実関係を認めて謝罪していることから、具体的な経緯を説明するとともに、重要な国家機密の流出はなく刑事処分が可能な事案には当たらないと強調する見通しだ。 一連の疑惑への朴大統領の関与を解明するため与野党が導入に合意した、政府から独立した特別検事の捜査にも、現体制で備える可能性が高い。野党が推薦する特別検事が捜査を指揮することから一段と厳しい追及が避けられないとみて、準備に万全を期す見通しだ。
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