よく韓国では団結力の強い団体に次の三つを挙げます。まず私学の雄高麗大学。その強い結束力で、コンクリートにたとえられます。ちなみに韓国の東大に当たるソウル大学は砂、即ち各自自分が優秀だと威張り、バラバラに存在する砂にたとえられます。それに比べ高麗大学は地方出身者が多く、情に厚い共同体意識が強いことから団結力が強いのです。日本における韓国人社会においても高麗大学の同窓会が一番盛んで、よく集まり親睦を図っています。高麗大学の同窓会を含めて、韓国には三つ団結力の強い組織があります。
二つ目は海兵隊出身者の「退役軍人会」です。軍隊の中で一番訓練がきついことで知られる海兵隊は、真っ先に危険な敵の陣地に乗り込むのを使命としているだけあって、一糸乱れぬ統制をモットーとしており、訓練は並大抵のことではありません。その訓練をしのいできたという同志愛が団結力の源です。
酒の席で喧嘩になっても、相手が海兵隊出身であるといっぺんに場の空気が変わり、互いの期数を確認し合い、今でも殴りかかろうとした手を相手の肩にまわし、諍いをコロッと忘れ海浜隊歌を歌いはじめる場面をよく見かけます。ビジネスにおいてもその同志愛が不可能を可能にすることもしばしばです。韓国では、海兵隊を「鬼を成敗する海兵隊」とその勇敢さを崇めています。
韓国においては、海兵隊だけでなく軍隊の体験談は「集い」ではなくてはならない話題であり、心を一つにする魔法のようなものです。ですから、軍隊に行っていない者は話題に加われず寂しい思いをします。共につらい訓練を受け、国のために犠牲になったという韓国人としての存在感は何物にも替えられません。訓練がつらければつらいほど、その連帯感は強固になります。
このような軍隊式の連帯感や上下関係は、一般社会にも影響し、私が勤務した航空会社にも受け継がれています。女社会でも上意下達は当たり前で、女性乗務員のCA内でも期数が上だと、たとえ相手が年下でも敬語を使うのは当たり前で、年下の先輩を「オンニ」(姉さん)と呼び、敬います。
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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