最近ソウルの地下鉄を利用する日本人をよく見かけます。昔はバスかタクシーでしたが、これはなかなか乗りにくいので外国人には敬遠されていました。地下鉄網が発達したおかげで、大衆交通機関を利用する外国人が増えています。
六十年代前半までは、バスが主な交通機関でした。経済成長によりマイカーが増え、交通事情が悪くなったため、地下鉄の必要性が議論されてきました。しかし、ソウルは地盤が固いため建設費がかさむとの理由で、検討されてはストップがかけられていました。ようやく七十四年に一号線がソウルに開通し、以後七路線が縦横に張り巡らせられ、今も建設が続いています。
韓国は、家を買うより車が先という人が多いほど車愛好家が多く、軽自動車は格好が悪いので、無理をしてでも中型以上の車を買い乗り回しています。車がステイタスシンボルとみなされていますので、分相応に車を選ぶ日本とは少し違います。ですが、さすがに不景気の余波が押し寄せたのか、最近は軽自動車も以前よりは多く見られるようになりました。
このような事情から、最初はなかなか地下鉄に乗りたがらなかった人も、路線網の拡大と渋滞などの道路事情から約束時間に確実に着く地下鉄を利用するようになり、今では日本の通勤時のような混雑で、駅員が乗客を押し込む姿がソウルでも見られるようになりました。
バスが主な交通手段だったころは、新興市街地の江南がまだ開発されていなかったこともあり、日本人に人気のある明洞が主な繁華街でした。知っている人に出くわすこともよくありました。デート中に元カノと出会ったりしてあわてることも。もちろん私のことではありませんので念のため……。
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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