日本では私鉄が発達しているため、その主要駅である新宿、渋谷、池袋などの商業地が分散されており、知人に会う確率は極めて稀です。ですから、さすがに明洞での遭遇には驚かされます。今では江南地域に旬な店が多くなり、地下鉄網の拡大により知人とのニアミスの可能性は低くなりましたが、大商業地がいくつもあるような日本に肩を並べるまでには至っていません。
韓国では日本ほど鉄道が発達しなかったため、物流の観点から、鉄道網の充実よりも、建設費用が安く済む高速道路網を構築しました。
一九七〇年にソウルと南端の釜山までの約四百キロメートル区間を結ぶ京釜高速道路が開通し、物流の大動脈の役割を担いました。「一日生活圏」という言葉も生まれました。これにより車社会が到来し、猫も杓子も車を買うようになりました。広々とした八車線の高速道路も車で埋まり、渋滞という副産物が生まれました。渋滞を緩和するためにバス専用車線を設けたりしましたが、十分ではありませんでした。
車の増加に拍車をかけたのが、日本と違い車の購入時に車庫証明がなくてもよい制度です。
ソウルの四千世帯も入居している大団地では、構内の道路に三重に駐車しているので、一番奥に止めてある車を出そうものなら一苦労です。前に止めてある車を両サイドにどかし、その外に駐車している車までどけるのですから、出勤時間に遅れることも多々あります。外に駐車している車は、奥の車のために押しのけられるようサイドブレーキをかけないようにしています。手押しで車を移動させられるように。
世界の大都市の中で東京ほど鉄道網が張り巡らされている都市はなく、そこでの生活に慣れ親しんだ者には、バスや自動車中心の生活に慣れるまでには時間がかかるに違いありません。
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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