●翻弄された歴史
これは、大きく強い鯨の喧嘩に巻き込まれ、横にいる小さなエビがとばっちりを受ける意味です。
なぜこのフレーズを引用したかというと、半島ゆえに蒙古族の元が日本を攻め入るときに片棒を担がせられたり、豊臣秀吉が明を攻め入るときに道案内を強制させられるなど、隣の大国の争いにまきこまれて来た韓半島にとってせっぱつまった格言だからです。日清、日露戦争のとばっちりを受けたのもよい例かもしれません。ここでは、どうなったかよりも大国の狭間で韓国人がどのように生き抜いたか、その結果どのような属性が備わったかを見ます。
ヌンチ ボンダ「目ざとく本質を見極める」という意味ですが、直訳すると、目上の人の目の動きを見て判断、行動をすることとなります。
この言葉は、一見日本語の「気配り」、「配慮」と似た意味を持ちます。けれども「ヌンチ」は目上の人、あるいは権力者のご機嫌を伺う垂直的な関係で、日本の「気配り」や「配慮」は、自発的で水平的な関係ですので、似て非なるものです。
軍隊に入り訓練所での内務生活は、それこそ「ヌンチ」を働かさなければ上官から殴られるなど訓練場で不利益を受けます。年の若い内務班長におべっかをつかったり、班長の布団をひいてあげたり、たばこを上納する等「ヌンチ」を働かすことにより楽な軍隊生活を送れるのです。まさに日本の旧陸軍の「要領を本分とすべし」そのものでした。一般社会でも今なお有効です。
これは韓国が、昔から縦社会でないと強力な侵略者から国を守れなかったからです。権力が分散されますと侵略を迅速に防げません。韓国も幾度となく日本のような内閣制を試みました。軍事政権の後、権力を分散する内閣制も検討されましたが、国民は一人に権力が集中する大統領制を選択しました。北からの戦争の危機を背負っている情勢からしたら、やむを得ないのかもしれません。
●日本よりも縦社会
このような地政学的な背景、軍隊経験、そして目上を敬う儒教の影響で韓国は日本よりずっと縦社会です。
現代史においても、大統領を敬い従いますが、独裁化しますと学生と市民が糾弾し、その座から引きずり落としてきました(六〇年学生革命、八〇年代の民主化運動など)。
なぜなら頼りなく弱いリーダーでは国を守れないからです。強い勢力同士の争いにとばっちりを受けず国を保全するための、韓国人の生存の知恵かもしれません。
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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