今年も友人の誘いで都市対抗野球を見に行きました。プロ野球でしたら名前も知っているし毎日好きなチームの順位やひいきの選手の成績を確認して「よくやった」とか「頑張れ」と応援します。特に私は韓国人選手の成績は欠かさずチェックして、一人喜んだり、何してるんだと残念がってる日々ですが、都市対抗はまるっきり門外漢ですので関心はもっぱら観戦中に飲むお酒にあります。生ビールからはじまって焼酎、ウイスキー、日本酒と種類に事欠きません。
都市対抗野球ファンには大変不謹慎で申し訳なく思いますが、私にとっての観戦はさしずめ「大人のピクニック」ならぬ「おっさんたちのピクニック」とでも申しましょうか……。しかし試合が進むにつれグラウンドの方に目が行き、気づけば応援しているチームの活躍に拍手を送り、目の前の応援団の熱いエールや趣向を凝らした出し物に吸い込まれていました。観客(そのチームの社員や関係のある人々)や応援団と選手が勝利に向かって一つになる様に久々にぐっと来ました。これが都市対抗の魅力でありスポーツの魅力なんだと。日本も韓国も最近共同体意識が薄れ人間の触れ合いや熱いものを感じられないなか、希少な役割を担う都市対抗野球の存在の理由を感じ取りました。特に感動したのは試合中に敵味方の応援団同士が相手チームの健闘を祈る「エールの交換」でした。正々堂々と戦おうと相手を慮る心配りに「これこそ日本の良さ、美学だ」と熱いものがこみ上げてきました。
都市対抗野球で変わっている制度を知りました。地域予選で勝ち抜いたチームが本選に出るとき予選で敗れたチームの中から三人まで補強選手として加えることができるという制度です。何と便利な制度でありいかにも日本的だと思いました。すぐ頭に浮かんだのが日本の将棋です。韓国の将棋と違い日本の将棋は相手の駒を取ったら、その駒を自分の戦力として使えるルールです。韓国の将棋は一度死んだら終りで取った敵の駒を活用できません。ですから勝負の終盤になると王様と家来が一、二人しか残っていないケースがざらです。まさしく死闘といった感があります。
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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