皆さんは韓国は儒教の国ですが、お寺も多いので仏教徒がたくさんいると思われるでしょうが、キリスト教を信じる人も韓国の人口五千万人のうち五分の一以上、約千二、三百万人いると言われています。
統計によりまちまちですが、おおよそプロテスタントが八百から九百万人、ローマ法王が韓国を訪れたカトリックは、五百万人いるとされています。
伝統的色彩の強い韓国ですが、人口の五分の一以上が西洋の宗教を信仰しているからすごいものです。
プロテスタント(聖職者を牧師という)は、十九世紀末から宣教師が韓国を訪れ、布教活動を行いました。
その際、学校や病院などを建て韓国の近代化に貢献しました。また韓国戦争のときも救援物資などを支援しながら、信者を拡大させ、世界の十大プロテスタント教会のうち八教会があるほど盛んです。
カトリック教会(聖職者を神父という)は、十八世紀に韓国人自らが中国に行き、洗礼を受けたことからはじまりました。日本の例を見るまでもなく、神父がその国に来て布教し洗礼を授けるものですが、韓国は自分の足で中国に行き、そこにいる外国の神父から授かった事実を誇りにしています。
日本では、十五世紀にフランシスコ・ザビエルをはじめ多くの宣教師が布教に訪れましたが、その努力もむなしくカトリック信徒は約五十万人に過ぎません。
二〇一四年にローマ法王が韓国を訪れたのは、アジア青年大会のためでもありましたが、五百万人という信徒数がいたからだと思います。皆さんが韓国に行って十字架を掲げている建物の多さに驚くのも無理はありません。
このように、韓国に西洋の宗教であるキリスト教徒が多いのには、近代の文物導入の一翼を担ったことや、韓国戦争での混乱期に救援物資などで支援したこと等いろいろ原因はありますが、一番大きな原因は韓国の地政学的位置にあるような気がします。
数多くの戦乱に見舞われる半島は日本のように分権では強力な敵に対処できません。常に卓越した指導者の下で一致団結する必要があります。その風土が一神教を受け入れる土壌になったのです。日本で一神教のキリスト教が根付かず多神教であるのもこのような地政学的位置に関係しているような気がします。
また、上昇志向の強い韓国人の慰めとしての側面もあるように思います。いくら頂点に立とうとしても常にそこに到達する人は一握りの者に限られ、その他大勢は挫折を味わうことになります。その癒しとしての役割を担っているのではないでしょうか。
その点、日本人は無理に上昇しようとするのではなく、与えられた状況の下で努力を重ね、それぞれ住み分けますので、キリスト教のような絶対神より八百万の神を敬いながら暮らす風土なのでしょう。
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
Copyrights(C)wowkorea.jp 0