【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は19日、検察内の「ビック4」の一人とされるソウル中央地検長に幹部ではない尹錫悅(ユン・ソクヨル)大田高検検事(56)を起用する極めて異例の人事を行った。サプライズ人事の背景には検察組織をこれ以上放置できないとの判断があったとみられる。 尹氏は朴槿恵(パク・クネ)前政権時代、情報機関の国家情報院(国情院)の大統領選介入事件の特別捜査チーム長に任命されたが、上層部の反対を押し切って国情院の職員を逮捕するなどし、地方に飛ばされた。だが、昨年に朴前大統領と親友の崔順実(チェ・スンシル)被告が絡む国政介入事件などの一連の事件を捜査した朴英洙(パク・ヨンス)特別検察官チームの捜査チーム長に抜てきされ、捜査の第一線に復帰していた。 検察の改革を求める声が沸騰する中、ソウル中央地検長だった李永烈(
イ・ヨンリョル)氏と法務部検察局長だった安兌根(アン・テグン)氏による激励金支給問題が波紋を呼び、文大統領は検察に本格化にメスを入れる意向を固めたとみられる。 文大統領は李氏を釜山高検の次長検事に、安氏を大邱高検の次長検事に「左遷」、そのポストに前政権で出世コースから外された改革派の人物を起用した。 特に、尹氏を検事長に昇進させ、検察捜査を総括する要職に配置したのは人的刷新を通じた検察改革をスタートさせたものといえる。検察で定期人事ではなく、しかも組織から事実上排除されていた人物を検察の花形とされるソウル中央地検長に任命したのは極めて異例。 また、尹氏の任命は検察改革だけではなく、国政介入事件の追加捜査を行うという文大統領の意思を反映したものとみられる。文大統領は記者会見で「現在、検察の最も重要な懸案は国政介入事件の捜査と公訴維持と思う」とした上で、尹氏について「それを確実にやり遂げられる適任者と判断した」と述べた。 一方、高検長級だったソウル中央地検長を検事長級に格下げしたのは、検察の独立に向けた第一歩との見方が出ている。 青瓦台(大統領府)の尹永燦(ユン・ヨンチャン)国民疎通首席秘書官は「ソウル中央地検長は2005年に高検長級に格上げされてから政治事件の捜査で任命権者の顔色をうかがうとの批判が続いたことを踏まえ、従来の検事長級に戻した」と説明した。 青瓦台の高官は「ソウル中央地検長らの高検長は検察総長の候補になるため、人事権者の大統領の顔色をうかがうしかなく、捜査が歪曲(わいきょく)される事例があった。こうした状態を立て直すため」と述べた。 文大統領は「政治検察」と批判されている検察を国民のための検察に戻すためには権力からの独立が求められると判断しているという。
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