就任当日、大統領府前で住民代表から歓迎の花束を贈られる文大統領(左)=5月10日、ソウル(聯合ニュース)
就任当日、大統領府前で住民代表から歓迎の花束を贈られる文大統領(左)=5月10日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が就任してから1カ月、その言動を表現する言葉の一つが、「型破り」だ。選挙期間中、権威をかざすことなく謙虚な姿勢で「コミュニケーションをとる大統領」になると約束したが、この1カ月を見る限り、期待以上といえる。 「脱権威」ぶりは就任当日から話題を集めた。国会で就任宣誓した後、車に乗り込む前にすべての与野党の執行部や役員、さらには市民とも自然な様子であいさつを交わし、スマートフォンで自撮り写真を撮る姿は、見る人に新鮮な驚きを与えた。 また、文大統領は青瓦台(大統領府)の警護レベルを引き下げた。厳しすぎる警護がコミュニケーションを妨げないようにするためだ。李洛淵(イ・ナクヨン)首相は首相候補に指名された翌日の先月11日、文大統領が「警護をもう少し緩めてほしい」と、警護室長が困るほど頼み込んだという話を明かした。 青瓦台官邸の準備が整うまではソウル市内の自宅から通勤していたが、住民から写真撮影を求められるたびに気さくに応じた。青瓦台の見学に訪れた子供たちを見かけると車から降りて声をかけ、子供がサインをもらおうとノートを取り出すのをじっと見守る様子にも、「国民の目線に立つ」という大統領の意思が感じられた。 既存の枠にとらわれないのは、「国の主人は国民」という信念があるからだ。 青瓦台の朴洙賢(パク・スヒョン)報道官は6日の会見で、大統領が出席する国の行事の儀典を改善する方針を示した。会場入りする大統領を閣僚らが迎える代わりに、大統領がそれぞれの行事で象徴的な立場にある人と一緒に入場する。国を守るため犠牲になった人々を追悼する「顕忠日」の6日、追悼式で文大統領の横に立ったのは国会議長や大法院(最高裁)トップらではなく、最前線の地雷事故で負傷した軍人たちだった。 文大統領は青瓦台参謀との関係でも格式より意思疎通を重視する。就任翌日、新任の首席秘書官との昼食会で、脱いだ上着を受け取ろうとした職員を「私がします」とやんわり遮った。食事後も上着は脱いだまま、コーヒーを片手に青瓦台内を一緒に散策しながら談笑した。新政権に漂うムードを象徴するシーンといえる。 青瓦台の会議も、枠にとらわれないスタイルで意思疎通を図ろうとする。先月25日に開かれた初の首席補佐官会議は、肩書き関係なし、事前調整なしの会議だった。ノーネクタイ姿で集まった大統領と首席補佐官は自分でコーヒーやお茶を入れ、隔てなく討論した。 メディアにも積極的な対応を見せる。朴槿恵(パク・クネ)前大統領は新年の記者会見以外には、会見などを行う青瓦台春秋館で記者に直接会うことはまれだった。一方、文大統領は人選発表を含めこの1カ月に3回訪れ、うち1回は打ち合わせなしの質問にも応じた。 こうした型破りな姿は、おおむね好意的に受け止められている。しかし政権が成果を出せなかったり、意思疎通が文大統領の個人的なアピールにとどまるならば、むしろポピュリズム(大衆迎合主義)と指摘される恐れもある。 韓国外語大のユ・ヨンファ招聘(しょうへい)教授は「文大統領の『脱権威』が政府全体の組織文化を変え生産性を高めるならば国政に大きく役立つだろうが、そうでない場合は『イメージ先行型の政治』にすぎないと批判されることもあり得る」と話した。 
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