11月6日(月)、新しくオープンした東京・TOHOシネマズ 上野での舞台あいさつ前、合同インタビューに応じた。
カン・ドンウォン の最新ニュースまとめ
本作では、これまで見たことがない極悪非情な詐欺師役に挑戦した国際派俳優イ・ビョンホン、知能犯罪捜査官役で冷静と激情を交えた新たな魅力を開花させたカン・ドンウォン、善悪の狭間に生きる野心家の天才ハッカーを熱演したキム・ウビンの韓国3大スターがそろい踏み。カリスマ詐欺師に、知能犯罪捜査官と天才ハッカーが挑むという構図で、3人の“マスター”が凄まじいオーラで大激突!
「監視者たち」のチョ・ウィソク監督がメガホンを取り、カーチェイス、銃撃戦、生身の肉体バトルなどの壮絶アクションと、敵の行動や心理を探りあうスリリングな頭脳戦が絡みあう、ダイナミックな攻防戦が観る者全てを物語に引き込み、韓国では観客715万人を動員し、大ヒットを記録した。
今夏日本で公開された「隠された時間」に続き、またも出演作が公開されることになり、ことし合同インタビューを行うのは2度目となるカン・ドンウォン。今回は、「MASTER/マスター」の撮影秘話や見どころなどをはじめ、好きな映画や結婚観などプライベートなことまでざっくばらんに語ってくれた。
<B>―今回、先輩イ・ビョンホンさん、後輩キム・ウビンさんとの共演で、カン・ドンウォンさんは中間の架け橋的な役割をされたと思いますが、2人と共演してみていかがでしたか?</b>
架け橋的な役割というより、ウビンとは歳が近いこともあり、よく遊んでいました。精神年齢が2人とも同じぐらいなんです(笑)。ウビンと僕は毎日会って、一緒にご飯を食べたり運動したりしました。ビョンホン先輩はそこに時々現れて、ご馳走してくれましたね。一度、会食のとき、僕がビョンホン先輩に、ツッコミを入れたことがありました。英語の勉強についての話になり、ビョンホン先輩が「英語は本場に行って、現地の人に習わなくちゃいけない」と言ったので、僕が「英語の本場っていったらイギリスでしょ?」と返したら、ウビンに「もうその辺にして」と言われて(笑)。そういう冗談が言い合えるぐらい仲良くなりました。
<B>―演技的な面で2人から刺激を受けた部分などはありますか?</b>
2人とも口が大きくて、セリフ回しがとても上手いんです。声もいいし、声量もあるので、新鮮な刺激を受けましたね。
<B>―これまで数々の作品に出演されてきましたが、オフィシャルインタビューで、今回の役が一番難しかったとおっしゃっていました。どのような部分が難しかったんでしょうか?</b>
個人的な復讐とか、悪い人にやられて、それをバネにしているとか、そういうハッキリとしたモチーフがあるキャラクターではなかったので、感情線をつかむのが難しかったです。たしかに、社会的な正義を実践するというモチーフはあったので、それも動機付けにはなるんですが、つかみどころのないキャラクターでしたね。
いままで演じた中で、一番男らしいキャラクターで、僕にもマッチョ的なところがあるかもしれませんが、ほとんどそういう感じではないし。話し方も、普段は静かにゆっくり話すタイプなんですが、早口で話すこともありました。
<B>―初めての刑事役でしたが、どんな役作りをされましたか?</b>
フィジカル面で、監督からも要求され、体格を大きくしなければいけなかったので、たくさん運動をしたのと、アクションチームからはボクシングをしてほしいと言われ、ボクシングのトレーニングも受けました。あと、個人的には、セリフをリズムよく、テンポを出して話すように心掛けました。大きく言うと、その3つですね。
<B>―ハードなアクションシーンが多くて、カーアクションでは大ケガをされたそうですね。</b>
向かい側の車が銃弾を撃って、向こうの車も僕の車も窓ガラスが爆発するというシーンで。最初のテイクで上手くいったと思ったんですが、監督から顔がよく見えていないから、もう1回撮ると言われ、撮り直したんです。ただ、窓ガラスを全部取り替える時間はなかったので、CG処理をするということで、僕の車の窓ガラスは替えずに撮影を再開したんです。
それで、今度は顔がしっかり見えるよう、顔をカメラに向けて銃を撃っていたら、バーンという音がして、ガラスの塊が飛んできたと思ったら、それが頭にあたってしまい、右側の顔に破片が刺さってしまったんです。それでも、まだ撮影中だったので、運転を続けて、ようやくアクションが終わったところで車を止めて、外のショーウィンドウを見たら、ガラスが首にも刺さり、顔全体から血がダラダラと流れていたんです。あまりに血が出ていたので、「もはやここまでか」と(笑)。俳優としては、これからの活動に支障が出るのではないかと思いました。大きい破片が首に刺さって、顔には小さい破片がいくつも刺さっていたので、スタッフさんはすごく驚いていましたね。
<B>―ご無事で何よりでしたね。</b>
いま、日本アニメ原作の映画「人狼(原題)」を撮っていて、この作品でも爆発シーンが多いんですが、スタッフさんが「MASTER/マスター」と同じチームなんですよ。そのチームの方たちが「今度は心配しないで大丈夫だよ」って言うんですが、心配しないわけにはいかないですよね(笑)。
<B>―銃撃戦や格闘シーン、カーアクションなどアクションファンが見たいものが詰まっている映画だと思います。おすすめのアクションシーンを教えてください。</b>
後に、DVDを購入していただければ、カットされたアクションシーンが見られると思いますが、それが一番良かったんですよ(笑)。監督は自分より年上ですけど、ほぼ同年代で、気楽に話せる仲だったので、シナリオの段階からそのシーンは必要ないと思い、監督にそのくだりは必要なのかという話をしたら、監督が必要だと言うので、撮ったんです。上から落ちたり、すごく大変で、苦労して撮ったんですよ。
ところが、編集が終わった後、監督に話があるからとお酒に誘われ、何かと思ったら、申し訳なかったと謝られて。編集していたら、そのシーンは必要ないと思ったと。最初から僕の言うことを聞いていればよかったと言って、正式に謝罪されました(笑)。
<B>―カットされたそのシーンも気になりますが、本編に出てくるアクションシーンでは?</b>
先ほど話した、首にガラスが刺さったシーン。どのシーンなのか、というのを推理しながら見ていただくと、楽しめるのではないかと思います。
<B>―ケガもいとわないぐらい、全力を尽くしたということですね。</b>
カーチェイスシーンもほぼ自分で演じているんですが、大きな車をバンバンぶつけるような感じで、本当に楽しかったです。今回アクションシーンは、フルショットは代役の方にお願いしましたが、それ以外は僕が演じました。
<B>―カン・ドンウォンさん演じるキム・ジェミョン刑事は、ストイックで正義感にあふれ、仕事に打ち込む男という印象でしたが、仕事への向き合い方において、共感できる部分などはありましたか?</b>
僕もそれなりに正義感にあふれているほうだと思っています(笑)。誰かに、「正義のためだけに戦っていたら、魅力がないじゃないか」と言われ、思わず「正義のために戦うのは当たり前じゃない」と答えたことがありました。そういう面で、キム・ジェミョンと似た部分がありますね。ただ、仕事の分野が違うので、僕は俳優としてできることを探しているという感じです。
<B>―劇中、キム・ウビンさんから「公務員でこんな部屋に住んでいて、なぜ結婚してないの?」と言われるシーンがありましたが、カン・ドンウォンさんの結婚観を教えてください。</b>
性格的に結婚できるのかどうか分からないです(笑)。小さい頃から、両親に「結婚しない」と言っていたんです。そのたびに「大きくなったらどうなるか分からないよ」と言われていたんですが、僕自身、まだよく分からないですね。
<B>―作品に出ずっぱりですし、仕事がどんどん楽しくなっているようですね。</b>
そうですね。周りで面白いことがたくさん起こるので、退屈しないし。停滞しそうかなと思ったら、新しい話をいただいたりするので、常に刺激を受けているし、楽しく仕事をしています。
<B>―今回演じたキム・ジェミョンは「捜査のマスター」でしたが、ご自身を「○○のマスター」と例えると何でしょうか?</b>
趣味にしても仕事にしても、個人的にはいろんな話題があるんですが、それを全部ひっくるめても、マスターと言えるほどのことはないですね。その中でも、一番得意なのは映画を作ることなんですが、「映画のマスターです」と言うのもちょっと…。でも、誰よりも上手くできることがあるとすれば、インターネット検索です(笑)。それに関しては、周りからしつこいほどだと言われているので。ユン・ジョンビン監督から、「ダパ」という雅号を付けられ、友達にもそう呼ばれているんですが、「ダパ」は全て漁るという意味なんです。だから、ほかのことはマスターだと言える自信はありませんが、「インターネット検索のマスター」とは言えると思います。
<B>―趣味的なことで言うと、インテリアとか家具作り、建築などにも興味があると思いますが。</b>
趣味ではやっているんですが、マスターと言えるほどではないです。建物ができるわけでもないし。家具作りもしますけど、周りにもっと上手い人が多いので。ジョージナカシマさんぐらいにならないと、マスターとは言えないと思いますよ。
<B>―ちなみに、インターネット検索ではエゴサーチもされるんですか?</b>
しますね。仕事でもあると思っているので。周りの方がどんな風に自分を見ているのか、ということを知ることも大切だと思います。もちろん、そこに書かれていることが全てではないですけど。よく書かれていないものを見て、「いまに見返してやる!」という気持ちになり、もっと頑張ろうと奮起することもありますね(笑)。
<B>―「MASTER/マスター」は娯楽クライムアクションとして楽しめる作品ですが、カン・ドンウォンさんが好きなクライムアクション映画は何ですか?</b>
最近、「ベイビー・ドライバー」を見たんですけど、すごく面白かったです。あまりにも良すぎて、腹が立つぐらいでした(笑)。カーチェイスシーンも見事でしたね。
<B>―では、クライムアクション映画に限らず、これまで見た中で好きな映画というと?</b>
「エターナル・サンシャイン」がすごく好きです。中学生の頃に見た「ブレイブハート」も良かったですね。「フリーダム」と言ったところで、泣きました(笑)。日本映画では「嫌われ松子の一生」とか、是枝裕和監督の作品も好きだし。あとは「南極料理人」とか、韓国版にリメイクした「ゴールデンスランバー」に僕も出演しているんですけど、原作も良かったです。韓国映画では「殺人の追憶」、「グエムル -漢江の怪物-」とかも好きです。
<B>―日本では7年ぶりの舞台あいさつで、久しぶりに日本のファンと会いますね。</b>
公式的に日本で久しぶりに舞台あいさつができることになり、うれしいです。こういう機会がもっとたくさんあればいいんですけど、そのためには韓国映画がもっと頑張らないといけませんね(笑)。とにかく、久しぶりに皆さんと会うのをすごく楽しみに来ました。
<B>―何度も来日されていますが、日本での楽しみというと何でしょうか?</b>
美味しいものを食べることです(笑)。そばがすごく好きで、ほかにも寿司、トンカツ、天ぷら、カレーうどん、ラーメンも好きだし、好きなものがたくさんあります。
<B>―先ほど、日本では韓国映画がもっと頑張らないと、という話をされましたが、韓国映画は世界的に広がり、パワーを持ち出していると思います。カン・ドンウォンさんはそういうことを実感されますか?</b>
韓国映画が外国で認められているというニュース記事を見たことはあるんですが、実際に関係者と会ったわけではないし、海外での興行成績も突出していいわけでもなかったので、本当なのか信憑性を疑っていたんです。ただ、実際に海外の映画祭に行って、映画関係者と会ったら、思っていた以上に、韓国映画を高く評価してくれていると感じました。だから、しっかり良いものを作れているんだなと思います。
<B>―韓国映画が、それほどパワーが持つ源は何でしょうか?</b>
映画1本を作るのに、みんなが使命感、自負心を持って作っているということですね。大変なときも多いですが、それ以上に皆さん頑張っています。韓国映画が目指すところというのは、観客の皆さんが好きなハリウッド映画的なものだったり、商業映画だったり、大作だったりするんですが、それなりのものを作るためには、犠牲が伴いますよね。でも、僕たちは少しでもいいものを作りたいという気持ちで、そのためには犠牲はつきものだから、それを乗り越えて頑張ろうというベースがあり、それを楽しんでやっているところがあります。それが大きな力になっていると思います。
カン・ドンウォンは「MASTER/マスター」で、緻密な分析能力と果敢な行動力を併せ持ち、執念と信念の力で犯罪世界を自分が変えてみせようとするエリート警察官キム・ジェミョンを演じ、インタビューでも「キム・ジェミョンと似ている部分がある」と話していたが、言葉の節々から、キャラクターと重なる部分が感じられ、映画を見ても、より説得力のある人物像に演じ上げているのが伝わるだろう。
毎回、作品ごとに変化に富んだキャラクターを完璧に演じ分け、30代俳優のトップを独走中のカン・ドンウォンがイ・ビョンホン、キム・ウビンとどのように火花を散らしながら、観客を物語に引き込んでいくのかも見どころだ。
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