CROSS GENE の最新ニュースまとめ
2014年に韓国の新たな演劇が生まれる場所と言われる大学路(テハンノ)で初演された後、2015年、2016年と再演を重ね、韓国ミュージカル界で新たな潮流を作った話題作。2017年には日本にも初上陸し、好評を博した。新たなキャストを迎え、全編日本語での上演となる今回は、主人公のカングをキム・ヨンソク(CROSS GENE)、ミンス、ミュージカル俳優のキム・ナムホ、ヘギ役をテウン(SNUPER)とインジュンが演じる。演出は中野智行(PaniCrew)。
物語は、少年院から出所したばかりの不良少年でロッカーのカングが、生きることにうんざりしていて、自殺を試みようとしたときにかかってきた1本の電話が始まり。なんと、自分が死に至るウイルスに感染したというのだ。急いで病院に向かったカングは、悪性腫瘍患者で、“リアル”に余命宣告された少年ヘギに出会う。残された時間で、死ぬ前に絶対やってみたいこと=バケットリストを実行していたヘギは、自分が死んでも悲しまないだろうカングに、高額のアルバイト料と引き換えに自分のバケットリストを実行する旅に誘う。2人はヘギのバケットリストを実行する「プラシーボ・プロジェクト」を始めるのだが…。
初日のバディは、日本でミュージカルに出演するのは初めてとなるキム・ヨンソクと、ミュージカル自体が初めてのテウン。初日ということで、舞台上の緊張感が伝わってきたが、物語が進むにつれ、熱い情熱をたぎらせた演技で、観客をぐいぐい引き込んでいった。
キム・ヨンソクは、「CROSS GENE」では天真爛漫な末っ子だが、そこにいたのは不良少年のカング。人生のどん底を彷徨い、苦悩や孤独を抱え、荒れているカングを迫力のある演技で表現。また、制作発表会で好きなセリフとして、ヘギに言う「逃げてんじゃねえよ。何もせずに後悔するくらいなら、ぶつけてこいよ」というセリフを挙げていたが、そんなカングの不器用な優しさや、ヘギとバケットリストを実行しながら、人生の意味に気付いていく過程を表情や声のトーンを変えながら、繊細に表現した。
テウンも、「SNUPER」のラッパーとしての姿はそこにはなく、ピュアで可愛く、生きたいと切に願う力強さも持ち併せたヘギそのもの。好きな年上女性に告白するシーンでは、キュートさ全開!女心をとろけさせる笑顔で、女性の観客を胸キュンさせたし、笑顔の奥にある、余命わずかの現実と向き合う切なさを上手く演じ、新たな一面を見せた。
生と死を扱った作品ということで、後半に入ると、胸に響くセリフの数々や、キャストの涙を流しながらの迫真の演技で、客席では感動して泣く人も続出。少し暗く重たい作品に感じるかもしれないが、クスッと笑えたり、楽しいシーンも。2人がガールズグループのサイン会に行くというシーンでは、ヘギが婚姻届にサインをもらおうとする暴走をし、警備員に追われて逃げるというドタバタに。2人は追っ手の目をごまかそうと、それぞれ東京タワー、東京スカイツリーのポーズを取るコミカルな姿を見せ、客席は大爆笑となった。
また、いかさま宗教を体験するシーンでは、2人が客席に降りて、通路を練り歩く場面も。その後、スポーツカーに乗るシーンでは、歌に合わせて客席から自然に手拍子がわき起こり、会場全体がノリノリで、楽しい雰囲気となった。
このように、この作品は軽やかなメロディの楽曲も印象的。グループではラップ担当のテウンが伸びやかに歌い上げ、そこにヨンソクの力強い歌声が重なり、美しいハーモニーを奏でる一方、ソロナンバーではワクワクする感情や、悲しい感情など、それぞれの気持ちがストレートに表現され、コンサートのステージとは違う歌声で観客を魅了した。
“生きたい”ヘギと“死にたい”カングという正反対のデコボココンビが、ぶつかり合いながらも互いを理解し始め、友情を育みながら、懸命に生きていくという琴線に触れるストーリー展開で、笑いあり涙あり、もちろん歌あり踊りありで、心にじんわりと温かいものを残してくれるステキな作品だった。
何より、この作品は2人芝居のバディミュージカル。2人の息、コンビネーションが大事になってくるが、その点で今回のキャストは心配がない。制作発表会のときも感じたが、キャスト同士の仲が良く、初日も出演していないキム・ナムホ、ミンス、インジュンが客席で観覧し、温かく見守りながら、リアクションをしたり、歌に合わせて体を揺らしたりして2人を盛り上げるなど、抜群のチームワークを見せていた。初日はキム・ヨンソク&テウンだったが、どの組み合わせでも、息ぴったりの演技で感動を届けてくれるに違いない。
さらに、公演後は毎回、ファンにはうれしい来場者特典・アフターイベントも行われる。初日は、フォトタイムと握手会。キム・ヨンソクとテウンは、「最初の公演ですが、こんなにたくさん来ていただき、ありがとうございました」と会場を埋めた観客に感謝し、観客が向けるカメラに向かって、キュートなハートポーズで応えた後、握手をしながら観客を見送った。
キャストの組み合わせによって、見え方や感じ方が違うと思うので、いろいろな組み合わせで観るのも、新鮮で楽しそうな「マイ・バケットリスト」。上演は2月28日まで。
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