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この度、主演俳優イ・サンユンのオフィシャルインタビューが届いた。
-まず台本を読んだ時の感想と、出演を決めた理由を伺います。感想からお話しください。
台本を読んで、序盤はラブコメのような明るくて漫画っぽい感じが気に入りました。寿命についてのファンタジー的要素が、ストーリーが進むにつれて胸に迫る話に変わっていきます。段々、濃厚なメロドラマのような雰囲気になっていくので、2つのジャンルが交ざった感じが気に入りました。それに、何より監督を信頼していました。最終的に決断したのは監督に対する信頼感からでした。
-前作「耳打ち ~愛の言葉~」とはまったく雰囲気が異なりますよね。
ええ、全然違います。
-イメージを変えようとしたのかなとも思っていました。前作のイメージから脱却したい気持ちがあったのかなと。
それよりも、放送局にいる親しい知人のアドバイスが大きかったです。その方は現実的でためになるアドバイスをいろいろとしてくれる方なんですが、こう言いました。イ・サンユンという俳優を視聴者や周りの人たちが思い浮かべた時に好ましい姿が浮かぶと思うが、それは僕が役者として挑戦したいことと一致しないこともあり得る。やりたいことに挑戦するなら、視聴者が望む姿も少しは見せなくては、というアドバイスです。それだけで出演を決めたわけではありませんが、影響は受けました。
-本作でイ・ドハという人物を演じました。ドハは「宇宙最強の気難し屋」と表現されています。会社を譲り受けようとする野心家であり、冷淡な人物ですが、チェ・ミカと出会って変わっていきます。かなり変わりますよね。ドハのキャラクターとご自身の性格を比べてみて、共通点と違う点は何ですか。
似ている点は興味のある分野とない分野で反応が極端なところです。ドハは自分が気を使うべき相手と、ほとんどの人たちですが、気を使わなくていい相手への態度が違います。気難しいというより無関心に近いと思います。僕も興味のある分野とない分野で、態度というより興味の度合いが変わってしまいます。知らない分野のことはまったく知らず、興味のある分野についてはどこまでも突き詰めるところがある。そういう点では似ていると思います。違う点は…。好きな人に誠実で一生懸命に何かをしてあげようとするところは似ていますが、ドハはすべてを捨てて、命まで捨てようとする。僕はそこまではできないと思います。
-実際にドハを演じる時は、台本に忠実に演じたことと思いますが、ご自身が描いた人物設定もあったと思います。どんなふうに演じようとしたか、また視聴者の共感を得るために心がけた点などがあれば教えてください。
先ほど話したことと重複してしまうのですが、ドハは財閥の御曹子だということで、制作発表会の時から「宇宙最強の気難し屋」と表現されていましたが、実際はそこまで気難しく演じなかったと思います。もちろん神経質な反応を見せることもありましたし、不安障害を抱えてはいますが、それには明らかに原因があります。ドハが気難しい態度を取るのは性格ではなく、生まれ育った環境のせいだと思うんです。ドハの家は人を使う立場の人がほとんどで、自分を良く見せる相手よりも、自分たちに良く見られようとする人たちのほうが多い。そんな環境で育ったので、必然的に備わった、生きるための態度だと思っています。だから気難しいというより無関心で、わざわざ自分を良く見せる必要がないという点が、逆の立場で見ると、少し不作法に見えるのだと思います。そう思いながら役作りをしました。ドハは不作法に見えますが、悪意を持って他人と接しているわけではありません。彼に興味を持って好意的に接すれば、逆に温かさを感じることもあると思います。それがミカや兄であるドサンなどに対する態度に出たと思います。
-そうですね。態度や感情表現が相手によって極端に違うところがありましたね。演じていて大変だったことはありましたか。
いえ、楽しかったです。何というか…、気を使わなくていいことが多かったので。人に接する時、普通は相手によって態度を変えなくてはいけないところを、ドハは限られた人たちにだけ態度を変えて、ほとんどの人たちに対しては同じ態度を取ります。そういう点で楽でした。
-私が特に面白いと思ったのは、パク秘書へのいたずらっ子のような態度でした。秘書を演じたカン・ギドゥンさんは大変だったでしょうね。
ええ、彼はとてもいい役者です。
-ミカは、自分の寿命を伸ばすための頼みの綱となるドハに猛アタックしていましたが、ドハもミカに惹かれ始めますよね。ドハはミカのどんなところに魅力を感じたと思いますか。
運命だったのだと思います。ドラマの後半で出てきますが、ミカに寿命時計を見る力が備わったことも、二人が会う度にドハの気持ちが変わるポイントとなったことも。二人は運命的に惹かれ合ったのだと思います。(ドハの気持ちが変わる)ポイントをあえて挙げるとすれば…それまでの態度が少しずつ変わっていくきっかけになったのは、ミカの舞台での姿だと思います。初めて舞台を見た時は珍事件となりましたが、それまでとは違う目でミカを見るようになり、次の舞台でまた気持ちが変わるというように、ミカの舞台はドハが心を少しずつ開いていくポイントになったのではないかと思いました。
-女性から見てもミカの舞台での姿はほれぼれとしました。
ミカは皮肉なことに相手の寿命が分かり、自分の寿命も知っています。サンユンさんがミカのように自分の寿命を知ったらどんなことをしたいですか。
残りの時間がどれだけかによって違うと思います。十分な時間が残っていると思えば、まずは日常生活に没頭し、残りの時間をうまく配分して、仕事ではなくプライベートで純粋に自分だけの時間を過ごすタイミングを探そうと思います。それまでは、自分の時間を十分に楽しむための準備しておき、最後は自分のためだけに時間を使います。
残りの時間が短ければ、すぐにでもやりたかったことをしたり、行きたかった場所へ行ったりしながら、他人を気にせずに本当に自分のためだけの時間を過ごします。
-自分ではなく、大切な人の寿命が残り少ないと分かったら、どんなことをしてあげたいですか。一緒にいてあげるとか…、ミカは最後に一緒にいてあげることが大事だと言いましたね。反対に大切な人を見送らなくてはならないと分かったら、何をしてあげますか。
僕もミカと同じだと思います。まずは相手が何を一番望んでいるかを知らなくてはいけませんが、僕が相手を愛しているのと同じように、相手も僕を愛しているなら、できるだけ長く一緒にいようとすると思います。一緒に相手がやりたいことをするなどして、できるだけ一緒に過ごしたいです。
-先ほど本作への出演のきっかけとなった監督の話が出ましたが、キム・ヒョンシク監督とは『2度目の二十歳』以来2年ぶりの仕事となりました。特に思い出に残っている監督とのエピソードやアドバイスがあれば教えてください。
本作の撮影中、監督は僕に3回ほど印象的な言葉をかけてくれました。1つはクランクインから1か月ほど経った頃だったかな。撮影の準備をしている時のことでした。
いろいろと話をしていたら、監督がこう言ったんです。途中、編集室で作業をしたりしながら言ったのですが、「今までと比べて、すごく変わった」と。僕にはどう変わったか分かりませんが、演じる時に余裕が出てきて、見ていて成長したのが分かると言われたんです。「2度目の二十歳」のあと2作品に出演してから監督と再会しましたが、その2作品で成長したとも言えますし、昨年、ちょっとゴタゴタしていた時期があって、気持ちを落ち着かせるために過ごした時間のおかげとも言えます。役者としてすごく悩んでいたけれど、その悩みが助けになったと確認させてもらえるような言葉でした。
2つ目の言葉は、撮影が難航してみんなが疲れていた時期のあとで言われました。「編集室でお前の演技を見て頑張ってきた」と。それを聞いて胸が痛みました。監督はいろいろな問題を調整しながらの作業で大変だったんです。スタッフよりも寝る時間がなかったと思います。撮影後に編集室へ行って作業していましたから。段々、体力的にもつらくなっているのが見ていて分かり、僕もつらかった時期でした。「大変ですね」などと話をしていた時に言われた言葉なので胸が痛みました。せめて僕でも監督の力になれてよかったと思いました。
3つ目の言葉は兄であるドサンと会うシーンで言われました。空港で会って挨拶するシーンです。実際は僕ではなくドサン役のチョン・ムンソンさんの力が大きかったと思います。そのシーンはドサンが座っていて、僕が後ろ姿で近づいていき、笑ってハグするシーンなのですが、そのカットを撮ったあと監督が僕の所に来て言いました。「どことなく演技が一皮剥けたようだ」「後ろ姿なのに感情が伝わってきた」と。特に意識せず演じましたし、ムンソンさんが本当の兄のように僕を見て笑ってくれたので、僕も感情が湧いてきて演技しただけなんですが、そう言われて感謝しています。
-いろいろと助けられたようですね。監督にそう言われて、かえって元気づけられたでしょう。
本当にそうですね。
-イ・ソンギョンさんとは年の差9歳のカップルですね。わざわざ年を言う必要はないんですが…(笑)。演じていて気を使ったことはありましたか。かなり年下の後輩なので気を使った点や、共演した感想を教えてください。
ソンギョンさんは若くて雰囲気のある俳優さんですよね。僕が今まで演じてきた姿で一緒に立った時に、お似合いのカップルに見えなくてはいけません。年齢が離れすぎて見えるとか、似合わないとなると問題になるので、その辺りは気を使いました。見せ方など、演じる時も若さを表現できるように気をつけました。
僕自身は年を取っていると感じていませんが、彼女と一緒にいる時、他の人が見て年の差を感じてはいけないので、他の人の目にはどう映るかに気を使いました。一緒に演じてみると、ソンギョンさんは明るくてエネルギッシュな方でした。撮影現場でもムードメーカーで、楽しく撮影できました。いつも正直で、楽しい時は楽しいと言うし、つらい時はつらいと言う方です。平気なふりをして倒れるよりいいと思います。つらい時は力になってあげましたし、正直に気持ちを伝え合いながら楽しく撮影しました。
-特に記憶に残るシーンや好きなシーンがありましたら教えてください。
そうですね…。一番重要なのはドハとミカのシーンですが、その中で一番記憶に残っているのは、僕も胸がキュンとなったシーンで、序盤に出てきます。突然、家の前まで来て「私たち、恋愛する?」と言われるシーンがあります。ものすごく新鮮な感じがして、そのシーンが好きでした。それから…、僕は、劇中でドハにとって重要な人物はドサンとミカだと思っているんです。もちろんウジンたちとも気楽に接する間柄ですが、すべてを与えられて気持ちをすべて分かってもらえるのはドサンとミカの二人だと思います。ドサンとのシーンで最後に…。そのシーンはドサンが死ぬシーンではないんですが、まるで死ぬシーンのように描かれています。二人でベッドに横になって話をするシーンです。その時も感情が込み上げてきて、いいシーンだったと思います。
-反対に、苦労したシーンは? 水中のシーンは大丈夫でしたか。スキューバダイビングのシーンがありましたよね。
水中のシーンは、むしろ何ともありませんでした。以前、「美しき人生」というドラマに出演した時も水中撮影をしました。その時は実際に海に潜って撮影したので、それに比べればずっと楽でした。それよりもドラマの後半で、何話だったか忘れましたが、エンディングでしたね。ドハが、残りの寿命がミカに移っていることを知り、ミカとキスするシーンがあったんです。そのシーンは台本が何度も修正されました。ドラマの後半にいくほど修正の時間がなくなってくるので、現場で調整しながら撮影しなくてはいけなかったんです。そのシーンは、撮影前に夕食をとり、監督とソンギョンさんと話し合いながら台本を修正し、現場で演じました。実際に演じてみると、違ってくるところが出てきたので、何度も調整して最終的に撮れたシーンが放送されたシーンです。その辺りが思ったより時間がかかりましたし、意見を出し合いながら進めたので、大変でした。
それからバスのシーンも大変でした。物理的にバス自体が…。感情が重要なシーンで、セリフは小さな声で言わなくてはいけなかったのですが、バスが思ったよりも大きな音を立てたので、感情移入するのも大変でした。その時も苦労しましたね。
-現場でのエピソードで特に記憶に残っていることはありますか。
撮影チームも「2度目の二十歳」と同じメンバーだったんです。以前、一緒に仕事した仲間たちということもあり、雰囲気が特に良かったのだと思います。俳優も同じ年頃の若い人たちが集まっていたので、気が合って楽しかったです。本作は事前制作のドラマなんです。制作準備の過程でいろいろな問題が起こり、苦労したことがいくつかありましたが、みんなで共有してうまく乗り越えました。
撮影中にスケジュールが特にきつかったのは中国の海南での撮影でした。海外なので撮影の日程が短かったのと、台本より撮影する分量が増えたことで、休憩時間を削って撮影を進めました。特に海南のシーンでは、ドハが登場するのは9割以上なので、僕はどのシーンの撮影にも参加しました。ホテルに戻ったらシャワーを浴びて寝て、起きたら準備して出かけての繰り返しでした。
だからホテルの施設はレストランぐらいしか利用できなかったんです。5日間の滞在でしたが、3日目の夜にプールでの撮影があったので、場所を聞いて行きました。僕はそれまでホテルにプールがあることも知らなかったんです。というか、あるだろうとは思っていましたが、どこにあるのかは知らなかった。だから「ああ、ここにあったんだ」と思ったりして、それも面白かったですね。「プールはここだったんだ」ってね。
-海南まで行ったのに…。
そうです。撮影の時以外は泳げませんでした。
-ぜひもう一度行ってください。サンユンさんはいろいろなジャンルの作品に出演してきました。今後、挑戦してみたい役などありましたら教えてください。いろいろな役を演じてきたので、どんな役でもこなせるだけのキャリアを積んでいると思いますが、ご自身が演じてみたい役がありましたら教えてください。
「耳打ち~愛の言葉~」というドラマに出演した時に失敗したなと思ったことがあります。僕が演じたドンジュンという人物の行動の動機について、それまで出演してきた作品と同じように考えて、間違えて理解していたことがあります。それまでの作品で演じた人物が人に対する感情や配慮、気持ちなどから行動したとすれば、ドンジュンや、僕が今後演じてみたい役は、個人的な欲というか、野望のために行動する人物なんです。見方によっては悪人に見えるかもしれませんが、そんな人物を演じてみたい。ドラマも最近はジャンルが多様化しているので、そんな人物が出てくるかもしれませんが、映画の方がそういう人物が出てきそうなテーマが多いので、映画の方でそういう人物を演じられればと思います。
-最後に、サンユンさんが考える「アバウトタイム~止めたい時間~」の鑑賞ポイントを、ファンへのメッセージも兼ねてお話しください。
僕たちのドラマ「アバウトタイム~止めたい時間~」は、他人の寿命時計を見る能力がある女性と不安障害を抱えている男性が出会い、繰り広げるファンタジーラブロマンスドラマです。何よりも、主役の二人がどんなふうに出会い、関係が進展していくのかに注目しながら見ていただくと、一番楽しめると思います。もちろん周辺人物もたくさん出てきますが、僕は二人の物語だと思っています。二人の関係や、その変化に注目して見ていただければ、さらに楽しめると思います。
もうすぐ放送開始のドラマ「アバウトタイム~止めたい時間~」、皆さん、見てください。
発売元:TIMO Japan/エスピーオー
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