中国の武漢が最初の確認場所だとされている新型コロナ。韓国においても当初は新興宗教団体での集団感染などによって感染拡大の危機が迫った。しかし、感染者数がその後急増することはなく、緩やかな感染者数の上昇が見られるのみであった。ところが8月に入って感染者数が急増。緊張と緩和が繰り返されている状況だ。
新型コロナ対策が緊張と緩和が繰り返されるとどうなるのか。経済は委縮して景気状態は悪化の一途をたどっていくだろう。隣国の日本では飲食店などの営業「自粛」の影響もあり、GDP(国内総生産)が年率マイナス27.8%となった。これは戦後最低の数値だという。
同じく、韓国でも景気が縮小してしまう可能性があるとの予測を韓国開発研究院(KDI)が示しており、経済状態の悪化は避けられぬ状況となった。この影響は飲食・観光業など、幅広い範囲に及ぶ可能性があり、前述したイースター航空もこのあおりを受けて人員の半数を削減するという荒療治に出たと考えてもよいだろう。
新型コロナによる影響は今回のイースター航空だけではなく、今後も他の航空会社に飛び火する可能性がある。再大手の大韓航空は運送対象を貨物へシフトしたこともあってか、4~6月期(前年同期比)に黒字転換を達成した。しかしながら黒字だったのは大韓航空とアシアナ航空だけであり、チェジュ航空、ジンエアー、イースター航空などの航空会社は軒並み経営が赤字に転落してしまっている。
今後の新型コロナがどうなるかによっては、経営が安泰だと思われる大韓航空やアシアナ航空も赤字転落してしまう恐れがあるのだ。各会社が相当の赤字を出すとなれば、イースター航空のように解雇通知、いわゆるリストラが敢行され、航空業界の失業者が大幅に増える事態も予想できよう。
LCCだけではない。新型コロナ事態の前に韓国財閥「現代産業開発(HDC)」に売却契約をしていたアシアナ航空は、結局は契約破棄された。物流や観光を支えて韓国経済の根幹の一つである航空業界で大韓航空に続き、ナンバー2を維持してきたアシアナ航空に、いよいよ巨額の税金が投入されることになりそうだ。経済論理よりも政治論理が支配してきた韓国の航空業界としてはやむを得ないことかもしれない。
しかし、ことの発端は新型コロナではない。2018年までは毎日3万人ほどが往来していた日韓の間に、政治論理が生み出した昨年の「NO JAPAN」運動は、既に航空業界の未来を暗示していた。
韓国の航空業界は今後どうなってしまうのだろうか。新型コロナの状況を見極めながらの苦しい経営が続くことは覚悟しなければならない。一刻も早い終息を願うばかりであるが、韓国経済はまだ暗闇の中である。というか、今のところ、まだ長いトンネルの入り口の暗闇かもしれない。
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