(画像提供:wowkorea)
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韓国の2大通信社「聯合ニュース」と「ニュースワン(news1)」は14日、「K防疫」の中核となる新しい行政機関「疾病管理庁」が発足して式典が開催されたと報じた。

 「疾病管理庁」は元々「疾病管理本部」として保健福祉部(厚生労働省に相当)の傘下にある組織だった。それが格上げを果たし、独立した形だ。

 この疾病管理庁の発足は、韓国に何をもたらすことができるのか。新型コロナ対応と絡めて論じることにしよう。

 疾病管理庁は今月12日に発足した中央行政機関。新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)に関する総合的な対応を担当することになる。さらに疾病管理庁の傘下には各地域を担当する「疾病対策センター」を設置し、地域ごとの対応にあたらせる予定だ。

 この他にも様々な組織内部の体制変化や再編が行われた。新型コロナウイルスに対し、これ以上の感染拡大は何とか食い止めたいムン・ジェイン(文在寅)大統領の強い意志をうかがうことができる。

 そもそも、中央政府は傘下の機関などに指示や命令などを出すが、どうしても地域の末端にまで細かく伝えることは難しい。もし末端まできめ細やかな指示を伝えたいのであれば、国民の強い支持や機関の迅速な対応も必要になってくる。

 この疾病管理庁の設置は、末端地域へきめ細やかな指示ができるように行政を円滑化する方法として選択された。地方で感染が急に拡大した場合であっても、すぐに防止措置をとることができる利点があるのだ。

 その一方で隣国の北朝鮮においては、感染者を拘束し射殺したとの信じ難い報道も見られた。そういったことが起こると北朝鮮からの脱北者が増加することも懸念される。疾病管理庁はそのような対応も担当する事になる。

 疾病管理庁が14日に発表した1日間の新型コロナウイルス新規感染者は109人となっており、先月末の400人台よりは減少した。日本では各自治体が各々発表する感染関連の基礎数値も、韓国では疾病管理庁が全国の数値をまとめて統計を作成している。

 歴史的に「地方自治」より「中央集権」を追求してきた韓国の特徴がにじみ出る部分だろう。ただ、「非効率」の象徴のような「中央集権」が今の時代にはデジタル情報通信の発達で「効率」に変わっている。これは「地方自治」を重んじる日本社会に対しては違和感のあるものの、一つの代案になり得るかもしれない。

 今後、韓国で感染者数が急激に増加する場合、疾病管理庁は以前よりも迅速な対処を行って、感染拡大をできる限り早急に抑制できる体制が整った。

 コロナパンデミックの初期、日韓の間では1日に行われる「PCR検査数の格差」や「ドライブスルー検査」が浮き彫りになった時期があった。それも「疾病管理庁」の前身「疾病管理本部」がある韓国と「自治体任せ」の日本との文化の違いだったと言えるだろう。

 ことし4月、韓国総選挙で文大統領の与党が圧勝したのは、この「疾病管理本部」の「K防疫」のお蔭であり、大統領の任期終了後の“運命”も今回昇格した「疾病管理庁」にかかっているとの見方もある。

 果たしてこの後、韓国の新生「疾病管理庁」は100人台の感染者を100人以下、そして0に近づけさせることができるのか。“大統領の運命”を見守りたいところだ。

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