冷延鋼板製品(現代製鉄提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
冷延鋼板製品(現代製鉄提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
【ソウル聯合ニュース】鉄鋼原料となる鉄鉱石の価格急騰に日本製品の低価格攻勢も重なり、韓国鉄鋼業界の苦境が深まっている。自動車や造船など国内の需要産業が新型コロナウイルス感染拡大の影響から抜け出せずにいる中、原料コスト上昇、日本勢の攻勢という「三重苦」に悩まされている格好だ。ポスコや現代製鉄といった韓国鉄鋼大手は鉄鋼製品の値上げで対応しているが、収益性の回復は容易ではない。◇中国経済の回復本格化で鉄鉱石価格が急騰 産業通商資源部と韓国鉱物資源公社によると、中国・青島港での鉄鉱石価格は14日に1トン当たり130.17ドル(約1万4000円)となり、6年半ぶりに最高値を更新した。今年初めは80ドル台前半だったが、5月に入り急上昇をみせ、8月には120ドル台に跳ね上がった。 こうした値動きは、中国経済が新型コロナによる打撃を乗り越え、4~6月期以降に本格的に回復を見せているのと軌を一にする。世界の鉄鉱石生産量の半分以上を生産している中国は、建設業と製造業の活況を追い風に、7月には過去最も多くの鉄鉱石を海外から輸入した。 鉄鉱石の需要は今後もさらに伸び、鉄鉱石価格は年末まで1トン当たり100~120ドル台を維持するとの見方もある。◇鉄鋼大手は製品値上げ 原料コストの上昇を受け、韓国鉄鋼大手のポスコや現代製鉄は熱延鋼板や冷延鋼板の販売価格を引き上げた。 完成車メーカーや造船会社など、大型の需要先に納品する製品価格にも原料価格の上昇分を反映するため交渉を行っている。だが、これら需要側も新型コロナによる苦境を抜け出せずにおり、価格交渉は難航しているようだ。◇日本勢が低価格攻勢 品質の良い日本製の鉄鋼材が急速に韓国市場に食い込んでいることも、韓国の鉄鋼業界を脅かしている。 韓国鉄鋼協会によると、建設資材であるH形鋼の今年1~8月の輸入量は27万1871トンで、前年同期比24.2%減少した。ベトナムやバーレーン、中国など大半の国からの輸入が減った一方、日本からの輸入量は11万4835トンで55.1%急増した。同期間の輸入総量の42%が日本製だった。 日本製が占める割合は2017~19年には約13~22%だったが、大きく上昇している。日本製H形鋼の輸入量は17年から増加を続け、19年に初めて年間10万トンを超えた。 輸入量が急増しているだけでなく、輸入価格も下落している。 日本製H形鋼の平均輸入価格は、19年は他国製品に比べ20~30ドル高かったが、今年1~6月はベトナムなど他国とほぼ同水準を記録した。日本製品の価格がそれだけ下がったことが分かる。 日本は新型コロナを受けた東京五輪の延期など悪材料が重なり、民間消費と輸出が同時に急減している。国内景気の冷え込みは深刻だ。 鉄鋼業界の関係者は「日本が自国内の需要不振などを理由に、円安などを利用して韓国に鉄鋼材の輸出攻勢をかけている。最近では日本製の低価格熱延鋼板の輸入が増え、韓国鉄鋼産業への脅威が強まっている」と話した。 今年累計の日本製熱延鋼板の輸入単価は1トン当たり477ドル水準で、前年同期比約14%下落した。中国製品の輸入単価(1トン当たり488ドル)に比べ、10ドル以上安い。 別の業界関係者は「新型コロナによる業績低迷、鉄鉱石など原料の価格上昇で負担が増している中での日本製熱延鋼板の低価格攻勢で鉄鋼業界は非常に苦しんでいるが、これといった対策がない」と苦境を伝えた。 韓国政府も状況を注視している。産業通商資源部の関係者は、日本製品の価格攻勢について「深く憂慮し、市況をモニタリングしている」と話した。
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