韓日間の入国制限措置の緩和について発表する李泰鎬(イ・テホ)外交部第2次官=6日、ソウル(聯合ニュース)
韓日間の入国制限措置の緩和について発表する李泰鎬(イ・テホ)外交部第2次官=6日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国と日本が6日、新型コロナウイルス対策で制限している両国間の往来のうち、ビジネス目的については8日から措置を緩和することで最終合意したのは、厳しい状況にある両国関係を改善させる上での朗報だ。 しかし、韓国大法院(最高裁)が日本企業に強制徴用被害者への賠償を命じた判決を巡る両国の立場の差は変わっておらず、両国関係の大きな改善は期待しにくいというのが大方の見方だ。 今回の合意は菅義偉首相が就任してから初めての韓日間の協力という象徴性があるものの、経済的な利害関係が一致しただけで、それ以上の意味を与えるのは難しいとの見方も出ている。 両国政府は6日、ビジネス関係者について防疫手続きを順守すれば、隔離措置なく相手国での経済活動が可能になる「特別入国手続」に合意し、8日から実施すると発表した。 韓国政府は「今回の合意を通じ、わが国の3番目の貿易相手国で2番目の人的交流先である日本との人的交流がビジネス関係者を皮切りに本格的に再開される予定だ」と説明した。 これまで両国は、強制徴用賠償判決とこれに対する事実上の報復である日本の対韓輸出規制、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」(23施設)に含まれた長崎市の端島炭坑(軍艦島)などで朝鮮半島出身者の強制労働が行われた歴史を日本が歪曲(わいきょく)している問題などで溝を深めており、今回の合意は未来志向の韓日関係に向けた肯定的な第一歩という評価が出ている。 外交消息筋は「一つの事案で全体を語るのは難しいが、韓日関係の全てが閉塞しているよりは一つずつ解決していくのがより良いアプローチになり得る」と話した。 ただ今回の合意は両国関係の改善に向けた意思よりも、コロナ禍以降の経済回復という目的に応じて実現した側面が強い。そのため韓日関係が悪化した根本的な原因であり立場の差が大きい強制徴用問題の解決に向けての肯定的な要素とするのは容易ではないとみられる。 文在寅(ムン・ジェイン)大統領と菅首相は先月24日に行った電話会談で、特別入国手続きの合意が両国間の人的交流を再開するための契機として両国関係の発展に役に立つとの認識で一致したものの、菅首相は記者団に対し、強制徴用賠償問題について「一貫した立場」に基づき、適切な対応を求めていくとの意向を明らかにした。 日本政府は1965年の韓日請求権協定締結によって強制徴用被害者に対する賠償問題は解決済みであり、賠償は韓国側がするべきとの立場を示している。 日本の茂木外相は6日の記者会見で、韓日の特別入国手続きの合意を発表しながら、徴用問題などに関しては日本の立場を韓国にはっきりと伝えていると述べた。 一部では今年韓国が議長国を務める韓中日首脳会談が開かれれば、韓日首脳が会談し、関係改善に向けて動き出す契機になるとの期待が出ているものの、会談自体の実現が容易ではないとみられる。 日本メディアによると、外務省幹部は先ごろ記者団に対し、韓国での強制徴用訴訟で差し押さえられた日本企業の資産に関し、韓国政府が現金化しないと確約しなければ菅首相は訪韓しないとの認識を示し、このような立場が韓国側に伝えられたという。 韓国外交部はこれについて、事実関係を明らかにしていないものの、外交関係者は、日本企業の資産現金化に対する日本政府の立場や、新型コロナウイルスの状況などを考慮すると、韓中日首脳会談が開催される可能性は高くないとみている。 世宗大の保坂祐二教授は、日本の外相や首相が訪韓した後に日本企業の資産が現金化されれば外交的な失敗になるため、菅政権はそのような冒険をする必要がないと考えているとの見方を示した。 ソウル大日本研究所の南基正(ナム・キジョン)教授は、安倍政権の方針を継承する菅政権に対し韓日関係の改善について期待を持つのは禁物としながらも、「少なくとも安倍政権よりは実務外交ラインが復元され、対話の場が開かれる可能性はあるように思われる」と指摘した。
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