1、万が一、日韓国交の断絶となった場合の影響
2、国交断絶まで行かなくても、どのような制裁があり得るのか、
などについて論じてきた。
今回は逆に、どうすれば両国間の危機や対立を「管理」出来るかについて、論じてみたい。
既に日韓関係の研究では”古典”とも言える、冷戦時代の日韓関係を論じたヴィクター・D.チャの「米日韓 反目を超えた提携」(2000年/2003年倉田秀也訳)をまず紹介したい。要約すると、
1、日韓両国は歴史問題を始めとした両国間の危機や対立を「管理」出来た。
2、米国が日韓両国に与えている安全保障・同盟上の関与を弱め(つまり、日韓両国を見捨て)た結果、
3、日韓両国は「共通の敵・脅威」を認識した為に、どんなに不満が有ろうとも、世論を抑えてでも、危機や対立を「管理」出来た
というものだ。つまり日韓両国が、両国間の危機や対立を無視・抑制してまでも、対抗せざるを得ない「共通の敵・脅威」を認識・共有した結果、やむを得ず協力せざるを得ずになったことだ。迂回的に米国の日韓両国に対する安全保障・同盟上の関与を復活・強化して、見捨てさせないようにしたというのだ。
この理論については世界史・国際政治史を見れば、共通の敵の存在・出現が従来の対立関係を克服して同盟・連合を形成したという多数の事例が有るので、否定は出来ないだろう。
従って、第二次世界大戦の以降、西側陣営の結束と極東政策の為に、断続的に日韓関係を調整・仲介し、介入して来た米国が(安全保障条約自体は残しても)安全保障・同盟上の関与をむしろ弱めて、日韓両国自ら危機や対立を「管理」しようと促す以外に無いという主張は否定出来ない。
しかし、ソ連を始めとした東側諸国・共産圏という明確な共通の敵・脅威が存在した「冷戦時代」は終わった。それから、約30年が経過しようとする今日の日韓周辺地域において、日韓両国は危機や対立を「管理」しようとする程の、「共通の敵・脅威」が実際に存在するのか?または存在するかの如く認識・共有し得るのか?
短期的・中期的には極めて疑わしいのが現実かもしれない。だが近年のインド・豪州を巻き込んだ日米によるダイヤモンド構想の如く、またTPP(環太平洋経済協力連携)の如く、中国を対抗対象とした様々な動きがある。もし日韓両国が米国のように中国を「共通の脅威」として認識できたならば、少なくとも日韓の対立は「管理」し得るかもしれない。
問題は実質「中国経済圏」に編入されつつある韓国経済と中国の数少ない同盟国である北朝鮮に対する現政権の思いが「自由主義」より「民族主義」を重んじ、その「管理」が難しくなっていることである。
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