照明がつくと、腕にタトゥーを入れたバンドメンバーが登場し、『火遊びさ』を歌い、ステージを駆け回る。20年ぶりに再集結した一名おじさんバンド“活火山”の、2回目の正式なステージだ。ファンキーなヘアスタイルと濃いアイメイク、細身のパンツ姿で体を動かし演奏する姿は、なかなかサマになっていて、300人余りのファンが歓声を上げる。

チャン・グンソク の最新ニュースまとめ

去る5月3日ソウル・弘益(ホンイク)大学近くのあるクラブで行われた映画『楽しい人生』の撮影現場。本物のコンサート会場を思わせるような熱気だ。バンドメンバーに扮したチョン・ジニョン(リードギター・ギヨン)、チャン・グンソク(ボーカル・ヒョンジュン)、キム・ユンソク(ドラム・ヒョクス)の変身は合格点。これまでの人生で、楽器の近くにすら寄ったこともない彼らは、撮影1か月前になって1日6~8時間、“死ぬほど”練習したという。その努力がようやく光り輝く瞬間だ。

雰囲気は一言で、盛り上がっている。熱気がほとばしったためであろうか。実際の状況であってもそうではなくても、コンサート会場はその属性上、やかましくならざるをえないのだろうか。実際のコンサートと勘違いするくらいに雰囲気が盛り上がると、本来の任務を忘れたエキストラたちが、カメラつき携帯で写真を撮りまくる中、スタッフは「携帯電話をしまってくれ」と怒鳴りつけながら、あちこち走り回る。

映画『楽しい人生』は、1000万人の観客を動員した『王の男』イ・ジュンイク監督の新作。監督特有ののんびりとした性格が、現場の明るいムードを一層盛り上げる。モニターをのぞいている俳優たちは、いつのまにか気持ちが満たされている。「実際の撮影の時には、全員代役を使わなくちゃいけないんじゃないか」という制作陣のジョーク混じりの不安の声をすっきりと拭い去ったからだ。イ監督は、チョン・ジニョンのギターを弾く姿が、まるで世界的ギタリスト、ジミ・ヘンドリックスに似ているとジョークまで飛ばす。

イ監督の前作『ラジオスター』と似ていて、今回の映画の中心素材も音楽だ。それも忘れられた音楽。イ監督は「『ラジオスター』がスターの物語ならば、『楽しい人生』は、まさに人生に縛られている私たちの物語」と念を押す。
40代半ばにしてバンドを結成するギヨン、ソンウク、ヒョクスを通じて、20代の人生を熾烈に生き、今は日々“現実”に縛られて生きていくしかない大黒柱たちが、再び夢を追い求める過程を描く。

もしかすると、世間の中心から外れた人々を慰めようとする映画ではないだろうか。イ監督は“夢の本質”を答えとして出した。社会的な成功でない、個人的な成就で夢を見なければならないというもの。彼らは今になって“夢”を悟った存在だという。

バンド“活火山”の代表曲は『弾けるぞ』だ。キム・ユンソクは、「ふつふつ煮立っていく様子こそ美しいもの」「弾けてしまったらどうなるのかわからないが、夢を探す過程だけでも意味があるのではないか」と問いかける。
実際に40代半ばに入ったチョン・ジニョンは、共感できる部分が多いという。「20代の頃が、自分の原則と鉄則を守って生きることに集中していたとしたら、40を過ぎた今は、例えやったことのないことをやることになっても、自分のアイデンティティだけはしっかりと守ると思う」と打ち明けた。

ようやく20歳を超えた俳優チャン・グンソクはどうだろうか。
「セリフにも出てくるけど、僕だったらバンド名を“活火山”じゃなく“Volcano”にしたと思います(笑)。だけど映画を撮っていて、やっと少しはその純粋さをわかったように思いますね」
“活火山”は果たして、どんな風に弾けて見えるのだろうか。その姿は来たる秋に、スクリーンで確認することができる。

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