1日の記念式典で演説する文大統領(資料写真)=(聯合ニュース)
1日の記念式典で演説する文大統領(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国外交部の崔泳杉(チェ・ヨンサム)報道官は2日の定例会見で、歴史問題を巡る日本とのあつれきと関連し、「(歴史問題の)解決策を議論するためには対話をしなければならない」とし、「今後、韓日間で正常な外交的意思疎通を行うためには、日本が役割を果たすべきということを再度強調する」と述べた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が1日に行った演説で示した日本との対話意思を改めて強調し、これに応じるよう呼び掛けた形だ。 別の外交部当局者は記者団に対し、文大統領の演説と関連し、「日本国内の雰囲気から直ちに呼応するのを期待しているわけではない」としながらも、「難しい歴史問題の懸案と関連して相手の立場で考える精神で対話の意思を示した部分に注目してほしい」と話した。 文大統領は、日本による植民地支配に抵抗して1919年に起きた独立運動「三・一運動」から102年を迎えた1日、政府主催の記念式典で演説し、「政府はいつでも日本政府と向き合い、対話する準備ができている」とし、「易地思之(相手の立場に立って考える)という姿勢で向き合えば、過去の問題も賢明に解決できると確信している」と述べ、歴史問題と未来志向の協力を分離して対応する「ツートラック」を維持して韓日関係を改善する意思を改めて表明した。 ただ日本政府は、韓国大法院(最高裁)の強制徴用賠償判決など歴史問題が解決されなければ、ほかの分野での協力も難しいとの立場を示している。 先月9日に外交部長官に就任した鄭義溶(チョン・ウィヨン)氏と茂木敏充外相との電話会談もまだ行われておらず、高官レベルでの交流も円滑ではない雰囲気だ。 韓国側は電話会談の早期実現を目指しているが、日本側は歴史問題などを理由にすぐに応じない公算が大きい。 外交部当局者は電話会談の開催時期について、双方に様々な理由があり、さらに時間がかかる可能性があるとした上で、「われわれはできるだけ早く電話会談する明確な意思があり、日本もそれを認識している」と説明した。 このような状況で政府が改めて対話の意思を強調したのは、韓日関係の改善が第一の目標とみられるものの、米国を意識した動きとの見方もある。 バイデン米政権が韓米日の協力を繰り返し強調する状況のなか、韓国も努力している姿勢を示し、日本にボールを渡したとも見ることができる。 韓国外交当局は、日本側が強制徴用問題よりも、1月に韓国の地裁が日本政府に旧日本軍の慰安婦被害者への賠償を命じた判決を重く見ていると把握している。 慰安婦問題を巡っては、鄭氏が3日午後に外交部で被害者の李容洙(イ・ヨンス)さんと面談する。李さんは16日の会見で、慰安婦問題を国際司法裁判所(ICJ)に付託するよう提案したが、韓国政府は「慎重に検討する」という立場だ。 一方、最大野党「国民の力」の趙太庸(チョ・テヨン)国会議員が前日、SNS(交流サイト)で「文大統領が対日強硬論から融和論に180度変わったが、その理由については何の説明もない」とし、中心の定まらない文政権の対日外交は「精神分裂的」と批判したことについて、外交部当局者は、韓日関係が難解であることを、身を持って知っている元政府高官が批判的なメッセージを発信するのは遺憾であるなどと述べた。 趙氏は朴槿恵(パク・クネ)前政権で外交部第1次官を務めたほか、韓日が慰安婦問題を巡り合意に至った2015年末当時には、青瓦台(大統領府)国家安保室の第1次長を務めていた。 同当局者は趙氏の批判について、韓日関係に対する認識や見解に深い失望と懸念を感じるとし、現在の韓日関係の難しい状況は協力分野と関係した日本側の拒絶に起因していると指摘した。 また米国を意識して対日政策の基調を変えたという指摘については、「韓日関係はそれ自体で重要だ。バイデン新政権が発足したためわれわれが韓日関係(の改善)を急いでいるとは考えない」と反論した。
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