「朝鮮族革命闘争史」と題した延辺博物館の昨年の展示。洪範図や金佐鎮をはじめとする独立運動家が紹介されている=4日、延吉(聯合ニュース)
「朝鮮族革命闘争史」と題した延辺博物館の昨年の展示。洪範図や金佐鎮をはじめとする独立運動家が紹介されている=4日、延吉(聯合ニュース)
【瀋陽聯合ニュース】中国吉林省・延辺朝鮮族自治州の中心都市、延吉市にある延辺博物館で、韓国の抗日独立運動史のかなりの部分を「朝鮮族の革命闘争史」として紹介していることが分かり、波紋を呼びそうだ。 同博物館は朝鮮族に関する展示施設で、国家2級博物館に指定されている。 「朝鮮族革命闘争史」と題した常設展示室では、中国の東北3省(遼寧省、吉林省、黒竜江省)を中心に起きた独立運動を朝鮮族の歴史として記述している。特に、1920年代の中国共産党成立より前については、韓国の独立運動の記述とかなり重なっている。 韓国では最近、中国のインターネット検索大手、百度(バイドゥ)がオンライン百科事典で詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)を中国国籍の朝鮮族と表記していることが物議を醸したが、延辺博物館の展示はこうした表記がミスによるものではなく、中国の歴史認識そのものと関係していることを示している。 展示では、日本による植民地支配時代の1919年に中国で樹立された大韓民国臨時政府で首相を務めた申圭植(シン・ギュシク)ら独立運動家、同年に満州に設立された独立軍養成機関の新興武官学校など独立運動に関連した機関・団体・事件を中国の朝鮮族に関係したものとして紹介している。「反日志士・申圭植は辛亥革命に参加した唯一の朝鮮族だ」「李会栄(イ・フェヨン)らは南満地域における朝鮮族の反日民族運動のゆりかご(発祥の地)である新興学校を設立した」といった記述がある。 また「東北地域の朝鮮族主要反日武装団体」の一覧表には、洪範図(ホン・ボムド)の大韓独立軍、金佐鎮(キム・ジャジン)の大韓軍政署、李相龍(イ・サンリョン)の西路軍政署などが登場する。 李相龍は臨時政府の最高責任者・国務領を務めた人物で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は2017年の光復節(1945年の日本による植民地支配からの解放記念日)の演説などで、李が慶尚北道・安東の生家、臨清閣を処分して独立運動に打ち込んだと言及している。 こうした展示に対し、韓国独立運動史研究所のシン・ジュベク所長は「1945年より前に中国に住んでいた韓人(在外韓国人)を朝鮮族と表現しているのは誤りだ」と指摘する。「彼らは当時、自身を朝鮮人、韓人などと表現していた。いつか(朝鮮半島に)戻るという意識があった」とし、「中国の展示の説明は原因と過程を結果にはめ込むものだ」と批判した。 シン氏はまた、「中国は朝鮮族を含む少数民族を中華民族としてひとくくりにしようとしている」とし、中華民族という説明方式に対する根本的な問題提起が求められると指摘した。
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