米韓“日米韓安保協力”共感…日韓協力は未だ難題(画像提供:wowkorea)
米韓“日米韓安保協力”共感…日韓協力は未だ難題(画像提供:wowkorea)

 韓国の国防部が先週、米国のロイド・オースティン国防長官の訪韓をきっかけに「日米韓安保協力の重要性に対する認識を共有した」とし、日本との国防協力・交流強化の意思を明らかにした。

 米国政府が今年1月のバイデン大統領就任後、北朝鮮と中国からの域内安保脅威に対応するための“日米韓3カ国協力”を強調したことで、事実上『日韓関係改善』を圧迫している状況で、韓国・国防部もこれに応えたのだ。

 しかし、これまで日韓関係が外交・経済だけでなく国防・安保分野にまで全面的に悪化した状況を考慮すると、「日韓間協力が米国の期待水準に達するまでは相当時間がかかる」という見方も出ている。

◇オースティン「日米韓協力に日韓関係の改善が必要」、ソ・ウク「予定されている協力を推進」
 韓国・国防部によると、オースティン国防長官は今月17日、徐長官との会談で「日米韓3カ国は韓半島周辺と東北アジア、インド・太平洋地域で共同の脅威に直面している。米国は日米韓協力を通じてこれに対応するのが重要だ」とし、「日韓関係改善が必要だ」と繰り返し明らかにした。すると、徐長官も「予定されている日米韓安保協力を支障なく推進していく」と述べた。

 これに対して韓国・国防部の当局者は「韓国・国防部はこれまでも“日米韓安保協力は他の日韓間の懸案とは別に維持・強化されなければならない”という立場を堅持してきた」とし、「日米韓合同参謀議長会議(Tri-CHOD)をはじめ、次官補級安保会議(DTT)などを通じた交流と連合訓練は昨年も正常に実施された」と説明した。

 しかし、韓国・国防部のこうした説明はわずか1か月前に発刊した『2020 国防白書』に盛り込まれた日本との国防交流協力に関する叙述とは多少“温度差”が感じられるものでもある。

 韓国・国防部はこれに先立ち、2018年版の国防白書では日本を「身近な隣人でありパートナー」と表現したが、先月発刊された2020年版の白書では『隣国』とだけ記し、悪化した日韓関係を反映したという解釈を生んだ。

 韓国・国防部の関係者はこのように国防白書の日本関連の表現が変わったことについて「特別な意味づけをする必要はない」と説明したが、日本のメディアは自国に対する表現が“格下げ”されたと報じた。

◇日韓国防当局も哨戒機事件・“GSOMIA終了宣言”などで関係悪化

 ここ数年間の日韓関係は『1965年の国交正常化以降最悪』という評価を受けるほど悪化の一途をたどっている。

 2018年10月、日本の戦犯企業に対する韓国・最高裁の強制徴用被害賠償判決に日本政府が「国際法違反」だと主張して強く反発した後、同年12月と翌年1月には日本海と東シナ海で日本の海上保安庁の巡視船艇が韓国の海軍艦に向かって低空で威嚇飛行する事件が相次いで発生した。

 また、日本政府は2019年7月、韓国・最高裁の強制徴用被害賠償判決に対する報復措置として、韓国に対する輸出規制強化措置を発動した。韓国政府は日本側が『韓国に輸出された戦略物資の第三国流出憂慮などの国家安保上の理由』を挙げて輸出規制強化措置を発動したという理由で、日韓軍事情報保護協定(GSOMIA)の終了を宣言し、対抗した。

 日韓国防相会談が2019年11月にタイ・バンコクで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)拡大国防相会議(ADDM-Plus)を契機に実現して以降、再び開かれていないのもこうした一連の流れと無関係ではない。昨年9月、日本では安倍晋三元首相が健康上の理由で中途退任した後、菅義偉首相が首相に就任したが、韓国に対する強硬路線は変わっていないためだ。

 特にこの過程で日韓両国民の反日・反韓感情も続いてきた状況で、「外交・国防当局が日韓関係改善を図ったとしても、その推進力を得ることは容易ではない」という見方が多い。

◇“任期末”日韓間の政治状況を考慮すれば、当面「形式」だけが維持される可能性も

 このような中、韓国・国防部は今年6月に予定されたアジア安保会議(シャングリラ対話)などを契機に、日米韓高官級政策会議を開催することで北朝鮮問題を含む3ヶ国間安保協力の課題について引き続き議論していく方針だ。

 しかし、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の任期が1年ほどしか残っていないうえ、日本でも今年10月前に総選挙(衆議院選挙)が行われる予定である点などを考慮すると、日米韓安保協力はしばらく“形式的”に維持する程度に留まる可能性が大きい。

 韓国政府は日本との歴史問題の解決と未来志向的な協力課題を分離する『ツートラック基調』の下、昨年末から対日関係の復元を試みてきたが、日本政府は依然として関係悪化の責任が徴用被害賠償判決など韓国側にあると主張し、消極的な態度で一貫している。日韓国防当局間の交流・協力もこうした気流から自由ではないという観測が支配的だ。

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