日本同様、感染の「第4波」を迎えた韓国。調査結果は、ワクチン接種が思うように進まず、安定供給も未知数な現状に、国民の不満が高まっていることがうかがえる。
調査は20~22日に世論調査会社「韓国ギャラップ」が全国の18歳以上の1003人を対象に実施。韓国政府の新型コロナ対応について「間違っている」が49%、「良くやっている」が43%だった。
否定的評価が肯定的評価を上回るのは、昨年2月末に南東部の大邱(テグ)・慶北(キョンブク)地域における集団感染の発生以来となった。
否定的な評価をした人の半数以上は、その理由として「ワクチンの確保と供給問題」(55%)を挙げ、「初期対応の誤り」(8%)、「防疫・感染拡大阻止に問題」(6%)、「社会的距離を置く政策が不適切」(5%)、「ワクチンの安全性に問題」(4%)などが続く。
韓国の新型コロナ対応といえば、パンデミック(世界的大流行)初期の段階では、政府は「K防疫」と自賛するほど対応を誇っていた。2015年の中東呼吸器症候群(MERS)流行で対応が遅れた教訓を生かし、積極的な情報開示や検査の拡大などで感染拡大を阻止。
また、個人の移動経路などの個人情報が公益目的で利用されることに対する社会的な議論が行われず、スマートフォンの位置情報などを政府が用いて感染ルートを追跡していた。この手法や、「ドライブスルー式PCR検査」などは当時、日本でも報じられた。
日本同様、第2波、第3波を経験し、昨年12月には1日の新規感染者数が1000人以上に増加したしたこともあったが、飲食店や大型スーパー、映画館などの午後9時以降の営業を禁止するなどの措置を取り、感染の抑え込みに成功。
また感染症予防法を改正し、昨年11月から食事の時以外、人が集まる場所でのマスク着用を義務付け、違反者には10万ウォン(約約9500円)の罰金を科している。こうした個人の自由を制限する、日本よりも厳しい措置は一定の効果を見せていた。
しかし、局面が変わって、現在はワクチン接種の対応を迫られており、ここにきて韓国政府の対応には不満の声が上がっている。接種率は日本同様、OECD加盟国の中でも下位にあり、ワクチンの安定受給に関しても国民の不安を払拭しきれていない。
そんな中、韓国の防疫当局は、ことし9月までに人口の3分の2に該当する3600万人に1回目の接種を行い、11月までに2回目の接種を完了すると表明。韓国政府は11月中に集団免疫の確保を目標に掲げており、ワクチンの安定供給が可能だとアピールしている。
ワクチンをめぐっては、韓国において、中国産とロシア産のワクチンは国民の「不信感」が強く、アストラゼネカ(AZ、英国)、ヤンセン(米国)社のワクチンは血栓副作用の「不安感」がある。モデルナ(米国)、ファイザー社(米国)のワクチンの確保が必須の状況という。
頼みの綱は米国からの支援ということになるが、バイデン米大統領は「今はワクチンを海外に送るほど十分に持っていない」と述べている。
現在、韓国では「ワクチンスワップ(交換)」なる言葉が連日、メディアを賑わせている。ワクチンスワップとは、米国が韓国にワクチンを緊急支援し、韓国は後にワクチンを大量生産して返すというもの。
米国務省の報道官は22日、「現段階で最優先は国内のワクチン接種に集中すること」と述べており、「ワクチンスワップ」が本当に実現するかは不透明だ。
昨年の4月には、韓国政府のコロナ対応について、「よくやっている」とする肯定的評価が85%にも上った。韓国国民はまるで「コロナ時代の適者生存は我々のもの」のように受け止め、「K防疫」は絶好調だった。
この魔法の言葉により、革新系の執権与党は経済失策で苦戦が予想されていた総選挙で60%の議席を確保する奇跡の選挙戦を成し遂げた。
それから1年。新たな局面を迎えた今、韓国政府がワクチン接種に関して、韓国国民に安心の材料を提供できるかが問われている。そして、その鍵を握っている米国の動きにも注目が集まっている。
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