(画像提供:wowkorea)
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北朝鮮は4月30日、菅義偉首相が靖国神社に供物を奉納したことについて、北朝鮮外務省のホームページに、「日本研究所」の研究員名で談話を掲載し、批判した。

同研究所のミン・ギョンム研究員名義による談話では、供物奉納について、「日帝が崩壊して75年の歳月が過ぎた今日まで、日本当局は軍国主義の過去と決別しようとしない」などと非難した。3月に文部科学省の検定を通過した歴史教科書についても言及。「朝鮮占領と植民地支配、日本軍性奴隷犯罪などに対する侵略史をわい曲して記述した」などと批判した。

北朝鮮は、日本を批判する際、この「日本研究所」の研究員名義でしばしば談話を発表している。この日本研究所とは、いったいどのような組織なのだろうか。

同研究所の存在が初めて確認されたのは2016年12月のこと。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の機関紙「朝鮮新報」が研究所の運営について報じた。当時の報道によると、運営には国内の社会科学の専門家や出版、報道機関などの関係者が参画。日本の政治、経済、軍事、外交などに関する研究を進め、発表しているという。独立組織ではなく、北朝鮮外務省の傘下にあるとみられる。

研究所の存在が初めて明らかになった時、国営メディアにも初めて研究所の名が登場した。当時、日本政府は北朝鮮による弾道ミサイル発射を想定した住民参加の避難訓練の実施を検討しており、このことについて北朝鮮の政府機関紙「民主朝鮮」が、研究所の研究員名義による論評を掲載。「日本はわれわれのありもしない『ミサイルの脅威』を騒ぎ立て、海外侵略の準備を本格的に推し進めようとしている」と批判した。

昨年9月、北朝鮮外務省は、総理就任から間もない菅首相が、拉致問題の解決に決意を示したことについても研究員名義で批判する談話をホームページに掲載している。この時、研究員として明記されていたのは、2000年代の日朝首脳会談に関わったベテラン外交官、リ・ビョンドク氏の名だった。

研究員による論評は、最近でも菅首相の靖国神社への供物奉納についてだけにとどまらない。代わる代わる研究員が登場し、日本批判を繰り返している。

3月には、韓国外交部(日本の外務省に相当)の高官が、2月の国連人権理事会で行った慰安婦問題に言及した演説について、日本政府が「受け入れられない」との立場を示したことを批判。キム・ソルファ研究員名義で「過去に日帝が朝鮮で敢行したあらゆる悪行は、いかなることがあっても正当化されず、時効は適用されない極悪な反人倫犯罪だ」と一喝した。

日本政府が東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を決定したことについては、先月26日、チャ・ヘギョン研究員名義で談話を発表。「日本が人類共同の宝である青い海を再び核汚物で汚そうとしている」とし、「人類の生存と生体安全を脅かす不法国家」と非難している。

日本を「研究」というよりも、実質は日本批判の窓口に過ぎない印象の同研究所。実際どのようなことが行われているのか、どれほどの人数の研究員が在職しているのか、また、北朝鮮外務省が、なぜ個人の研究員名義で談話を発表するのかなど不明な点が多い。

北朝鮮の研究員名義の「談話作戦」は、反日感情を支持率アップに悪用するあまり対日批判には一線を越えてしまう韓国の政治家が見習うべきものかもしれない。

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